2013年8月9日金曜日

「日本威嚇」目的の中露合同軍事演習:効果なく水泡に帰す:それより「いずも」

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●9日、中国海軍とロシア太平洋艦隊が7月に日本海で行った合同軍事演習について、タイメディアは「日本に対する威嚇が目的だったが、効果はなく無駄だった」と伝えた。資料写真。


レコードチャイナ 配信日時:2013年8月9日 19時10分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=75374&type=0

「日本威嚇」目的の中露合同軍事演習、効果なく水泡に帰す―タイ紙

 2013年8月9日、環球時報(電子版)によると、中国海軍とロシア太平洋艦隊が7月に日本海で行った合同軍事演習について、タイメディアは
 「日本に対する威嚇が目的だったが、効果はなく無駄だった
と伝えた。

 タイ紙バンコク・タイムズは8日、
 「今回の中露合同演習は日に日に規模が拡大し、アジア・太平洋諸国の注目を集めた」
と指摘。
 多くのアナリストが、今回の演習は日米両国を政治目標としたもので、
 「中国が日本の政権交代に合わせて威嚇する意図があった
と分析した。
 しかし、7月の参院選で同演習が話題になることはなく、中国の目論見は水泡に帰した。

 また、日増しに規模、範囲を拡大する中露合同演習は周辺国の注目を集めている。
 少なくとも東南アジア諸国連合(ASEAN)など国際組織、アジア・太平洋諸国、米国は両国に対して軍事演習の透明化を呼びかけるべきであろう。
 各国は自国周辺での軍事演習実施に対し、明確な平和目的を持つことを求める権利があるからだ。


 中国とロシアの「合同海軍演習」では日本に圧力をかけることなどハナから無理である。
 日本はロシアのバルチック艦隊を撃滅したキャリアがあり、その後ロシアはまともな海戦をしていない状態では、
 感覚的にロシア海軍を高く評価することは絶対にない。
 一方の中国海軍は日本から見ると新興海軍で経験がモノを言う海軍にあっては、ノンキャリアは実力的に大人と高校生くらいの大差がある。
 このニ国の演習といっても、ロシアは日本に対する圧力ではなく、お得意様である中国に武器を売り込むためのパフォーマンスでやっているという姿勢がミエミエに見られる
 こんな状態では、日本から鼻であしらわれ、バカにされるのがオチである。
 日本人の誰もヤバイとは思わない。
 やるだけ無駄な演習である。
 もちろんロシアは兵器の売り込みをしたいし、中国としてはたまには本格的に大砲をぶっぱなして見たいと思うだろう。
 その程度の両者の自己満足にすぎない。
 海上自衛隊とアメリカ海軍の軍事演習の方がどれほど質が高いかは誰もが知っている。
 一体どんな作戦が行われたのだろうかと、遥かに興味深々である。
 日本に圧力をかけるため、なんて名目で中国・ロシアの合同海軍演習などやらないほうがいい。
 「海戦技術向上のため」といった理由のほうが効果が大きい。
 ガンバッてるな!、と思えるからである。
 日本に圧力をかける前に、下手すると両国のコミニュケーションの反古が目立ってしまう結果にもなりかねない。
 
 その演習とは。

レコードチャイナ 配信日時:2013年7月2日 20時40分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=73926&type=

中露が日本海で合同軍事演習、5日から12日まで―中国紙

 2013年7月2日、中国新聞社によると、中国とロシアは1日、日本海で5日から12日まで、両国海軍による合同軍事演習を実施すると発表した。

 ロシアを訪問した中国人民解放軍の房峰輝(ファン・フォンフイ)総参謀長とゲラシモフ国防第1次官兼参謀総長が1日、共同声明で発表した。
 5日から12日まで日本海で海上合同演習、27日から8月15日までロシアで対テロ合同軍事演習を行う。

 会見した房総参謀長は「今回の演習は特定の第3者を対象としたものではない。
 地域情勢の安定に向け、訓練を通じて両軍の協力を強化し、行動調整能力を高めることが狙いだ」と述べた。


 その成果は?

レコードチャイナ 配信日時:2013年7月12日 20時20分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=74245&type=

中露合同軍事演習は大成功、「共通の敵に勝利した」―ロシアメディア

 2013年7月11日、ロシア国営ラジオ局「ロシアの声」は、中露合同軍事演習の「海上連合2013」について、
 「中露は共通の敵に勝利した」
と題する記事を掲載した。
 中国日報網が伝えた。以下はその概要。

 今回の軍事演習の成果に関しては、両国の詳細な分析を待つ必要があるが、ロシアと中国が複雑な軍事演習を成功させたことは明らかな事実だ。

 今回の演習では仮想敵の戦闘機が中露連合艦隊の上空を飛行し、爆弾を投下すると仮定、それに対し駆逐艦が迎撃した。
 さらに、敵の潜水艇の侵入に対し護衛艦が魚雷で攻撃するなどの演習を行った。
 演習の主戦場はピョートル大帝湾海域で、中露は連携して仮想敵の駆逐に成功した。

 
 なんだか、とってつけたような成果である。
 おそらくはロシアの中国へ対するリップサービスであろうと思われる。


WEDGE Infinity 2013年08月13日(Tue)  小原凡司 (東京財団研究員・元駐中国防衛駐在官)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/3064

中国海軍は日本を震撼せしめたか?
中国海軍の実力と日本の対応力

 「中国海軍の行動が日本を震え上がらせた」
 「日米を震撼させた旅」
 「これまでで最も意義のある遠洋航海」

 中国海軍艦艇の宗谷海峡通峡に対する中国国内の評価である。
 「日本の背後に突然現れた」この行動が日本に対する圧力だったと言うのだ。
 しかも、この行動は、突然発表された。

 2013年7月11日、中露海軍共同演習「海上連合-2013」のウラジオストックでの閉幕式において、中国海軍副司令員・丁一平中将は、共同演習の成功裏の終了を宣言した。
 しかし、これだけで終わらなかった。
 演習に参加した中国海軍艦艇を分派して遠洋航海訓練を実施すると発表したのだ。
 丁一平副司令員は、
 「演習終了直後、演習に参加したロシア海軍艦隊は緊急出動の命を受け、出港して新たな訓練審査を実施する。
 中国側演習参加艦艇の編隊も直接海上に赴き、長期間の海上訓練を行う」
と述べた。
 この編隊が宗谷海峡を抜けたのだ。7月11日、演習終了時に突如この行動を発表したのは、日本が7月9日に中国非難を強めた防衛白書を公表したことに対抗するものと理解できる。

 更に、日本海における中露共同演習実施中に「舟山沖海域で実弾射撃訓練を実施する」と発表したことも、当該演習に連携していると言う。
 この時期に発表したのは、もし中国が日本に対して開戦を決意したならば、日本の南西から中国が、北西からロシアが同時に行動を起こすことを示すためだと言うのだ。
 これに、中国艦隊の宗谷海峡通峡が加わると、「日本を四方から攻撃するぞ」と圧力をかけていることになる。

■海軍運用の意識の変化はいつから?

 ただし、日本が感じる圧力の度合いは中国海軍の実力にも依る。
 では、宗谷海峡通教が「日米を震撼させた」という中国海軍の実力はどのようなものだろうか。

 実は、中国海軍が近代海軍としての意識を持ち始めたのは2000年前後である。
 中国海軍の訓練は、それまで、ほとんど日帰り訓練であった。
 朝、出勤して艦艇のエンジンをかけて出港し、訓練を実施して帰投、入港して家に帰るという訳だ。
 これは、「艦を家とする」海軍の発想とは全く異なる。
 短時間の訓練を主としていたことから、中国海軍は、当時、上陸阻止のために沿岸海域で敵艦艇を撃破するという運用思想であったと考えられる。
 陸上戦闘の海上版という程度の発想であろう。

 しかし、2003年に初の駆逐艦とフリゲートの混合編成による訓練が実施され、海軍運用の意識の変化が明確になってきた。
 2009年の「遠洋航海訓練実施」宣言に代表されるように、現在の中国海軍はブルーウォーター・ネイビー(外洋海軍)を目指している。
 これに合わせて、中国海軍艦艇は大型化し、「中国版イージス」等の最新装備を整えつつある。
 そして、2012年9月25日には、初の空母を就役させた。
 新型の潜水艦も続々と就役している。艦艇の陣容だけを見れば、正に強力な近代海軍である。

■いまだ解決されない「補給」問題

 それでもなお、海軍の運用思想を取り入れて10年程度の中国海軍には問題もある。
 中でも、補給に関する問題は根深いようだ。

 2010年には、中国人民解放軍が全国規模の補給演習を行うと大々的に報道したが、その後、演習の内容はおろか、演習を行ったという報道さえされなかった。
 一般に、惨憺たる結果に終わったために報道できなかったのではないか、と言われている。
 中国海軍にとっても、補給は大きな問題である。
 2012年12月6日の『新華社』等が、「東海艦隊が西太平洋において『総合補給訓練』を実施した」とわざわざ報道したのは、未だ、補給が特に重視すべき項目であることを示唆するものである。

 興味深いのは、補給の問題の一つに「食事」が挙げられていることだ。
 2009年頃の中国海軍には、「中華料理を食べるから頻繁に補給が必要なのではないか」という議論があった。
 欧米の食事を学ぶべきだと言うのだ。
 しかし、この問題の解決は難しそうである。
 2004年の時点で、人民解放軍総後勤部の承認を経て「中華料理と洋食を結合し、製品化して提供する」ことを主とする飲食保障の新モデルが作られていた。
 更に、これ以前に数年をかけて、「海軍艦艇部隊飲食保障メニュー指南」、「海軍艦艇部隊中華料理洋食メニュー管理システム」、「海軍艦艇部隊飲食保障方法」等、6種類の基礎的研究が行われ、食品加工方法、機械設備の装備、遠洋航海用食品改良の3つの標準が定められている。

 このことから、「中華料理が問題だ」という意識は2000年前後には共有されていたと考えられる。
 それが、現在に至るまで解決されたようには見えないのだ。
 2011年2月には、未だ「単一の食事構造を打破して中華料理と洋食の結合を進める」という報道がなされている。
 また、2013年5月の『解放軍報』は、「潜水艦乗員は、三日間熱い料理を食べていない」という内容の報道をしている。
 これが美談になっていること自体、現在でも食事が大きな問題であることを示唆している。

 こうした中国海軍の活動を、「食事への執着」と笑うことは簡単だ。
 だが、同盟国のない中国は、誰かに海軍の運用を教わることが出来なかった
 自ら解決策を模索してきたのだ。
 ロシアでさえ、中国を警戒して、装備品は供給しても運用のノウハウは教えてこなかった。
 この状況は、第2次世界大戦以前は英国海軍、以後は米国海軍に教えを乞うてきた日本とは大きく異なる。
 独自の努力には限界があることを示しつつも、沿岸でしか行動できなかった中国海軍が、短期間でその行動範囲を外洋に広げているのもまた事実である。

■中国がロシアのノウハウを学ぶ?

 そして、この中国の「手探り」の状況も変わるかも知れない。
 ロシアが、近年、中国海軍軍人の教育訓練を実施しているからだ。
 2013年7月23日の『環球時報』は、
 「現在、ロシア軍訓練センターは中国水上艦艇、潜水艦、航空機搭乗員及び対空砲要員に対して訓練を実施している」
と報じた。
 ロシア海軍のノウハウを学ぶことが出来れば、中国海軍の運用レベルは急速に向上する可能性がある。

 実際、ロシアは、2012年に続いて2013年も「海上連合」演習を実施した。
 この中で、訓練指導部、合同司令部、艦隊司令部等の各レベルで両軍の混成を進めたとしている。
 また、7月9日には、演習の重点項目として、中露特戦隊連合部隊による海賊対処訓練を行った。
 今回の共同演習から中国海軍は多くのノウハウを学んだと考えられるのだ。
 政治的な意義が大きい演習だと言われながら、中国にとっては軍事的にも得るものが多かったと言える。

 一方で、ロシアの真意を理解するのは難しい。
 共同演習実施の発表が、中国艦隊が青島を出港した当日の7月1日になったのは、房峰輝総参謀長のロシア公式訪問のタイミングを待った、或いは、直前に公表することで日本に対する衝撃を大きくすることを狙ったといった理由が考えられるが、対日圧力という政治的意義を強調する中国とロシアの間で、演習の調整が難航した可能性もある。

 また、「海賊対処訓練」が重点項目の一つであったことから、「海上連合-2013」が、必ずしも日中開戦の一貫したシナリオに基づいた演習ではなかったことが理解できる。
 更に、中国艦隊が宗谷海峡を通峡した前日には、ロシア艦隊16隻が通峡しているが、これは、中露の連携を印象付ける反面、中国へのけん制とも取れる。

 中国海軍の外観だけを見て脅威だと叫ぶのは無意味だ。
 しかし、運用能力を過小評価することも危険である。
 装備と運用を総合的に分析して初めて能力を検証できる。
 また、日本に圧力をかけるにしても中露共同が不可欠だが、ロシアにはロシアの国益と計算がある。
 中露共同の意義を理解するためには、日中、中露関係のみならず、米中、米露関係の影響を考慮する必要がある。

 そして、脅威は能力と意図から形成されるのであるから、中国の意図の理解は不可欠だ。
 中国が、日本に圧力をかけると決断した思考過程等を理解しなければ、対応を誤る可能性もある。

■日本が抱える問題点:「平時の自衛権」

 最後に日本側の問題だ。
 有効に対処できれば、日本は震撼する必要はない。
 しかし、残念ながら、自衛隊は有効な対処ができないだろう。
 能力がないのではない。
 平時の自衛権が認められていないからだ。
 有事だと認定され、更に防衛出動が下令されなければ、自衛隊は軍事力として行動できない。
 現在は、法律の拡大解釈等によって、「警戒監視」等の軍事活動を行っている。

 実際には、防衛出動が下令されるまでの武器使用は「警察権」及び「自然権(正当防衛等)」に依らざるを得ない。
 しかし、警察権は、軍艦や公船には及ばない。
 海軍艦艇及び海監等の船舶には対処出来ないのだ。
 ならば、「正当防衛だ」と言うかもしれない。
 しかし、自然権はあくまで個人に属するものであって、本来、部隊としての対処は出来ない。

 日米が「共同作戦計画」を作成していると言う。
 しかし、日本の説明では、米軍と「共同作戦計画の研究」をしているに過ぎない。
 今は平時だからだ。米軍には「計画」であっても、日本には「研究」であって「計画」ではない。
 東日本大震災の捜索救難活動等において、日米共同が機能しなかったのはこのためだ。

 一方で、法的に認めていないのに、実際には言い訳をして自衛隊を使用するのでは、日本は「信用できない国」になってしまう。
 そして本当に苦しむのは現場である。対処が認められていないのに行動を命ぜられる指揮官は、何をどう解釈すれば何が出来るのか、常に苦慮しているのだ。

 日本は、まず足元を見直さなければ、中国に対して本当に震撼することになりかねない。



 それより日本の「いずも」の方が威嚇目的を達しているらしい。


サーチナニュース 2013/08/10(土) 14:28 
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2013&d=0810&f=politics_0810_004.shtml

日本の「準空母」、わが潜水艇の活動範囲を圧迫する=中国報道

  日本で第2次世界大戦後に建造された戦艦のうち最大となるヘリコプター搭載の護衛艦「いずも(22DDH)」の進水式が6日に行われた。
 中国網日本語版(チャイナネット)は9日、「日本の準空母がわが国潜水艇の活動範囲を圧迫する」と論じた。
 以下は同記事より。

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  満載排水量が2万7000トンに達するいずも(22DDH)は、日本海上自衛隊が初めて保有する「準空母」であると言える。
 米国の垂直離着陸型次世代戦闘機「F‐35B」が搭載可能であり、その対潜水艦戦闘能力、島奪還作戦能力はアジアはおろか、世界でも指折りのレベルである。

  中国と日本の海上における領有権争いの激化や、日本が2013年版の「防衛白書」でこれまでにないような過激な言葉で「中国の軍事的脅威論」を吹聴したことなどを考えると、「いずも」が想定している敵が中国海軍であることは確かだ。

  「いずも」が進水したことは、「日本の特色」を持つ「軽空母」が完成したことを示している。
 遠洋における対潜作戦編隊の旗艦として、「いずも」の就役は海自の対潜戦闘能力を引き上げ、カバーできる海域も大幅に拡大した。
 日本の専門誌『世界の軍艦コレクション』は、
 「『いずも』に搭載されている高感度のソナーとヘリコプターによる遠距離作戦能力を連携させれば、魚雷を主要兵器とする隣国の潜水艦が日本の海上艦隊に近づくことを阻止できる
 海自の自衛艦隊の周囲300海里あまりの海域に潜む敵を一掃できる
との見方を示している。

  隣国の軍艦、とりわけ潜水艦が日本列島から沖縄、台湾、フィリピンをつなぐ防衛ラインである「第一列島線」を突破する動きに、日本の海自は終始敏感な反応を示している。
 アジア太平洋地域における海自の戦略は、ヘリ搭載型空母を中心に、対潜戦と支援能力の補助的役割の充実を重視するものである。
 防衛省関係者は
 「ヘリは潜水艦の捜索が可能であり、対艦ミサイルの射程距離の外で敵方戦艦を探知することができる」
と話している。
 日本がヘリの搭載が可能な巨大戦艦を必要とする理由もそこにある。

  これまでの日本の艦隊整備計画である「八八艦隊」は、主にソ連の潜水艦の防衛を仮定したものだったが、今では日増しに力を増す中国海軍に対応するため、「九・十艦隊」までレベルアップしている。
 海自の「九・十艦隊」とは、「八八艦隊」をベースに、新たに建造した艦対空ミサイルを搭載した駆逐艦「イージス艦」と多用途駆逐艦(1機のヘリコプターを搭載)それぞれ1隻と駆逐艦10隻、艦載ヘリ9機からなる艦艇編隊である。

  「いずも」は就役後、「第一列島線」付近の重要海域におけるパトロールを長期間行うことが可能で、搭載されている対潜ヘリが遠距離の警戒活動に当たることで、隣国の潜水艦と軍艦の活動範囲を圧迫することができる。
 日中間で一度でも主権争いが巻き起これば、
 中国海軍で「第一列島線」を突破する戦闘能力を持つ潜水艦部隊は、日本の強力な対潜戦闘能力の抑制に遭うだろう。



減速する成長、そして増強される軍備


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