2013年8月28日水曜日

日本の巨額債務は世界の同情を得るための芝居:中国風の解釈とは?

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 ●27日、財務省が今月初めに発表したデータによると、今年6月末現在、国債、借入金、政府短期証券をあわせた「国の借金」の残高が1008兆6281億円に達し、初めて1000兆円の大台を突破した。資料写真。


レコードチャイナ 配信日時:2013年8月28日 2時53分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=76055&type=0

日本の巨額債務は世界の同情を得るための芝居―中国メディア

 2013年8月27日、財務省が今月初めに発表したデータによると、今年6月末現在、国債、借入金、政府短期証券をあわせた
 「国の借金」の残高が1008兆6281億円
に達し、初めて1000兆円の大台を突破した。
 この巨額の
 「政府債務の国内総生産(GDP)に対する比率は247%
で、日本は世界一の比率を守り続けている。
 同省の推計によると、今年度末の債務残高は1107兆円に達する見込みだ。
 日本紙によると、債務を人口で割れば、国民1人あたり792万円の借金を背負っていることになる。
 世界3位の経済体である日本がかかえる巨額の負債は、金融危機を引き起こすだろうか。
 金融危機の懸念はないだろうか。
 はたまた別の懸念が存在するだろうか。環球時報が伝えた。

▽アベノミクスが巨額債務を後押し

 日本の政府債務は1981年に100兆円を超え、2000年に500兆円を突破し、2013年は1000兆円を突破し、今後も増加する見込みだ。
 ある日本メディアの分析によると、今年初め、安倍晋三氏が再び首相の座に着くと、経済政策「アベノミクス」を打ち出し、機動的な財政政策として、借金をして景気回復を図ろうとした。
 こうして政府の借金が増え、3月末の991兆円から現在の1008兆円に増加した。
 内訳は国債が830兆円、銀行からの借入金が55兆円、政府短期証券が123兆円だ。
 東日本大震災の被災地の再建にも資金が必要で、政府は引き続き国債を追加発行し、再建のための「復興国債」として11兆1140億円を集めた。
 巨額の債務をもたらして重要な原因はもう一つある。
 それは高齢化による社会保障費用の増大だ。
 現在、日本は65歳以上の高齢人口が総人口の20%に当たる2560万人に上り、医療や介護などの社会保障費用は29兆円で90年の2倍になり、財政支出全体の31%を占めている。

 あるメディアの分析によると、日本が赤字財政を実施するようになってから、急速な経済成長による財政への圧力はまだみられない。
 折り返し地点は90年代初めで、バブル経済が崩壊してからの約20年間、日本経済は低迷から脱出することができず、税収は92年の60兆円から12年は42兆円に減少した一方で、支出は69兆円から100兆円に増加した。
 09年以降は4年連続で毎年40兆円の国債を発行しており、国債と税収でほぼ半々となっている。

▽ギリシャのような危機は訪れない

 長期にわたり、日本の世論では国債に対し楽観的な味方が主流だった。
 経済学者の片岡剛士氏によると、政府が債務を引き受けることにはさまざまな利点があり、資金を放出することによって円高抑制の効果を上げることができるという。
 だが業界関係者の中には、現在の高く積み上がった債務は若い世代が将来こつこつと返済することになり、日本は人口減少傾向にあるため、このままいけば日本経済はどこかで破綻すると懸念する人もいる。
 12年には政府債務がGDPの237%に増加し、主要8カ国(G8)で最高だったのみならず、ギリシャの198%、イタリアの126%も上回った。
 日本にアジア版の「欧州債務危機」が突如発生することはないだろうか。

 日本大学の亀谷祥治教授(金融学)は取材に答える中で、理論的には確かに債務危機が発生する可能性があり、日本は経済成長と健全な財政体制という2つの選択肢に直面している。
 だがギリシャのような債務危機が発生する可能性は大きくない。
 日本と欧州諸国とでは債務の構造が異なるからだと述べた。
 日本国債の保有者は日本の大手銀行で、売却さえしなければ、毎年1%の利回りが見込める。
 現在の銀行預金の金利はわずか0.1%で、最近では国債を買う方が株より儲かり、銀行の財務状況の改善につながる。
 一方、欧州諸国の国債は海外企業による投資が多く、これらの国債は格付けが低いため、利回りが高めに設定されている。
 投資家が何かちょっとでもあればすぐさま国債を投げ売りするため、欧州国債には暴落の可能性がつきまとう。

 それでもなお、日本の巨額債務に懸念を表する専門家もいる。
 中国社会科学院(社会科学アカデミー)日本研究所の馮昭奎(フォン・ジャオクイ)研究員によると、日本政府は現在の巨額債務に加えて、軍事費を増やそうとしており、財政的に無理がある。
 こうした情況が続けば、大きな影響があり、金利が上昇することになる。
 政府が毎年、国債の元金償還と利子支払いで支出する金額の国家予算に占める割合が年々上昇すれば、日本が動かせる予算はますます減少し、国の財政がますます硬直化しやすくなり、社会保障費用のための支出がますます保障されなくなっていく。

▽債務イコール資金不足ではない

 ある専門家によると、一つの国の経済が安定しているかどうかを検討するには、総合的な考察が必要になる。
 たとえばG8の債務の対GDP比をみると、日本が最も高く、ドイツが最も低い87%で、米国は113%だ。
 失業率をみると、日本は3.9%とG8の中で最も低く、ドイツは5.8%、米国は約8%だが、いずれも改善されつつあり、経済運営が安定に向かっていることがわかる。
 よって、赤字の水準だけで各国の経済をはかることは難しいとわかる。
 馮研究員によると、日本が背負うのは対内債務で対外債務ではなく、対内債務は国の破産には発展しないものだ。
 この点がギリシャなどの国と決定的に違う点だ。
 日本国債は米国国債のAAAより低いAAの格付けだが、日本の民間では信頼が厚く、政府の保障があって確実とみなされている。

 また、日本国債は元金償還と利子支払いが可能な利益の出るプロジェクトであり、財政の負担ではない。
 中国商務部研究院の唐淳風(タン・チュンフォン)氏(日本問題)によると、日本国債(で調達した資金)はごく少数部分が災害復興に充てられ、政府が肩代わりするほかは、ほとんどの部分が利益の見込める公共事業に使用される。
 高速道路、空港、新幹線の建設や改修、大型科学技術開発、資源開発、地域開発の実施などだ。
 こうした角度からみると、国債の90%以上は日本の財政負担でないばかりか、国の利益の源泉であるといえるのだ。
 各種財団の中には、政府の国債を専門的に取り扱い、運用して巨額の利益を得ているところが多い。

 唐氏によると、巨額の国債をさかんに吹聴する本当の狙いは2つあるという。
①.1つは、国民をだまし、苦肉の策を弄して消費税を引き上げ、医療保険や失業保険やその他の保険での国の負担を減らそうとすることだ。
②.もう1つは、金融危機発生以来、円高傾向が顕著で日本企業と日本製品の国際競争力が低下していることから、自国製品の輸出競争力を高めるため、「『巨額債務に苦しむ日本』というお涙頂戴の芝居」をうち出して、国際社会の理解と同情を得ようとすることだ。

(提供/人民網日本語版・翻訳/KS・編集/武藤)




減速する成長、そして増強される軍備


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