2013年8月22日木曜日

シンガポールの発言の変化:「悪者の対象が日本から中国に移った」

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●21日、尖閣諸島の領有権問題について、シンガポールのリー・シェンロン首相は「中国が領土紛争をどう処理するかが、各国の中国に対する見方に影響を与える。中国は自制をもって初めて、他国の懸念を解消できる」と述べた。写真はリー・シェンロン首相。


レコードチャイナ 配信日時:2013年8月22日 10時40分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=75852&type=0

<尖閣問題>シンガポール首相「中国の処理の仕方、各国に影響与える」―台湾メディア

 2013年8月21日、台湾中央通訊社によると、尖閣諸島(中国名・釣魚島)の領有権問題について、シンガポールのリー・シェンロン首相は
 「中国が領土紛争をどう処理するかが、各国の中国に対する見方に影響を与える。
 中国は自制をもって初めて、他国の懸念を解消できる
と述べた。
 環球網が伝えた。

 リー首相は日本でこのほど行われた国際フォーラムの席上で発言した。
 シンガポールメディアによると、リー首相は日本が東シナ海、東南アジア諸国が南シナ海で、それぞれ中国と領有権をめぐり対立していると指摘。
 リー首相は
 「尖閣諸島や南シナ海では何かしら得られるだろうが、国際的な名誉、地位を失う恐れもあり、十分考慮して問題に対応しなければならない」
と述べた。

 さらに、中国の台頭に対する各国の憂慮について、リー首相は
 「米中関係の複雑化、東南アジア諸国が領土紛争を抱える現状では、誤った判断が下される恐れがある。
 国際関係を対抗意識でみるべきではない」
と語った。


 少し前までは日本の態度を批判していたシンガポールだが、この記事では中国に自制を求める形になっている。
 この風潮の変化は、シンガポールのみならず世界に共通しており、
 「悪者の対象が日本から中国に移った
と思わせる感がある。
 当初は中国という大国に肩をもち、「長いモノには巻かれろ」風に、中国の顔色を伺いながら発言していたのが、このところ風向きが逆になってきた。
 おそらく多分に、日本が中国に屈するものと先読みしたためであろうが、
 その弱々しい日本がビッシとした論理の整合性をもって毅然とした態度を崩すことはなかったために、
 振り上げた拳を下ろす場所とタイミングを失って中国がオロオロ滅裂状態に陥り
 「沖縄は日本の領土ではない」
といった、発想にまで飛躍してしまった。
 これによってメデイアや周辺国家は中国に愛想を尽かして
 「今の中国は処方箋がつくれない、先の見えないビョーニン
といったことになってしまったようだ。
 しばらく前に「アジアのトラブルメーカーは日本」と韓国の新聞は書き立てていたが、昨今ではその言説はほとんど力を失い、
 「アジアのトラブルメーカー:中国説」
が定着してしまったようだ。

 なを、沖縄について書けば、
 沖縄は沖縄人が県民投票すれば「沖縄国」として独立できる権利を有している民主主義地域であるということは、誰もが知っている
ことであろう。
 選択権は沖縄市民がもっている。
 その市民が日本に投票している、ということである。
 領有権がどうのこうのという問題ではない。


朝鮮日報 記事入力 : 2013/08/09 11:33
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/08/09/2013080901400.html

リー・クアンユー氏
「中国は紛争起こせば没落」
日本は「下り坂」と予測

 「中国が戦争に巻き込まれれば、内乱と衝突が起き、混乱が生じる可能性がある。
 そうなれば中国の地位は再び低下し、今回の没落は長期化するかもしれない

 シンガポールの国父と呼ばれるリー・クアンユー元首相(90)が今月6日に出版された英語版の自叙伝『ある男の世界観』=写真=で、中国の強硬な外交路線を警戒した。



 中国が「平和崛起(へいわくっき、平和的な台頭)」を続けるためには、紛争を起こすべきではないとの指摘だ。
 中国紙の環球時報と香港文匯報が伝えた。

 リー元首相は、自治政府時代から独立後にかけ、31年にわたり首相を務めた。
 人口530万人の小さな都市国家シンガポールを世界レベルの金融・物流の中心地に変貌させた手腕が評価されている。
 リー元首相は1990年に首相を退いた後、上級相や内閣顧問を務め、2011年まで活動した。

 李元首相は新著で
 「トウ小平が掲げた『韜光養晦(とうこうようかい、実力を隠して、力を蓄える)』は賢い解決法だ。
 中国がかつてのドイツや日本と同じ轍(てつ)を踏むべきではないという点を意識したものだ」
と評した。
 20世紀初め、ドイツと日本が浮上する過程で、欧州とアジア各国間では権力と影響力、資源確保のための激しい競争が展開され、それが2回の世界大戦へとつながり、結局は両国の勢いが断たれたからだ。

 リー元首相は
 「中国は他の強国に追い付くのに30-40年の時間が必要で、強国を刺激せず、全ての国を友人として現状をうまく維持すれば、中国の勢いがますます強大になる
 それが中国の内部問題を解決する余地を確保し、経済発展も持続することができる道だ」
と指摘した。

 習近平国家主席が就任した中国については
 「内部の課題解決が鍵になる時期であり、突発的な外部の事件が大きな影響を与えることもあり得る。
 習主席が深く物事を考え、沈着に対応すると信じている」
と書いた。
 リー元首相は2007年末、政治局常務委員に昇進した習氏と会った直後、習氏を
 「度量があり、南アフリカのマンデラ元大統領クラスの人物だ」
と評していた。

 日本については「非常に悲観的」との評価だ。
 リー元首相は
 「日本経済が長期不況の泥沼に陥った最大の要因は人口の急激な減少だ。
 日本はそうした状況でも『人種の純粋性』にこだわり、これに反する対策を公に議論しにくいのが実情だ」
と分析。
 その上で
 「移民の門戸を閉ざしている限り、日本の未来は非常に暗い。
 今後10-15年は下り坂が続く」
と予想した。
 リー元首相は
 「シンガポールも少子化問題を経験したが、われわれは移民を受け入れている。
 私がもし英語の分かる日本の若者だったとすれば、移民として日本を出ていくことを選択する
と語った。

 また、米国については
 「中国が急成長しているが、iPadのような創意的で革新的な製品を作れる技術がある限り、米国経済の勢いは衰退しないだろう」
と述べた。
 しかし、
 「米国は結局、超大国の地位を他国と分かち合うことになるだろう
とも指摘した。
 米中関係については
 「両国はイデオロギーなどの面で鋭い対立関係ではない。
 中国は米国市場への進出と投資、技術確保のために、米国と良好な関係を維持する必要があり、
 米国も中国を長期的な敵国とする必要はないはずだ」
と述べた。

 このほか、リー元首相は自身の死生観について
 「生きていることが死よりは良いが、誰でも死は免れない。
 昏睡(こんすい)状態で病床に長く横たわるよりは、早く世を去る道を選びたい」
と書いた。


 リー・クアンユーはやはり一時代前のリーダーである。
 考え方が少々安穏ではあるが、狭い。
 歴史の流れについていけていないところがある。
 リー・シェンロンはまずはそこそこの今日の政治家だといえるだろう。
 シンガポールは都市国家として周辺国の動向をみながら、時どきにスタンスを変えて行かねばならない。
 それをうまくやらないかぎり、人口500万人程度の国家はあっという間に没落してしまう。
 逆にいうとシンガポールの生き延び方の姿勢が、最もアジアの状況を反映しているともいえる、ということにもなる。


レコードチャイナ 配信日時:2013年8月23日 13時20分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=75913&type=0

シンガポール首相の発言に反発
=「名誉は釣魚島より重要なのか?」「口を挟むな!」―中国版ツイッター


●21日、台湾メディアによると、シンガポールのリー・シェンロン首相は東京都内で行われた国際フォーラムでの演説の際、尖閣諸島問題について「中国が勝ち取っても、国際社会での名誉や地位を失う」と述べた。中国版ツイッター上ではこれに反発する意見が多数寄せられた。

 2013年8月21日、台湾メディアによると、シンガポールのリー・シェンロン首相は東京都内で行われた国際フォーラムでの演説の際、釣魚島(日本名・尖閣諸島)問題について触れ、
 「中国が勝ち取ったとしても、国際社会における名誉や地位を失うことになる」
と述べた。

 リー首相は、中国が日本との東シナ海問題や東南アジア諸国との南シナ海問題をどう処理するかが、国際社会の中国に対する見方に影響するとし、
 「中国は自制的な行動をとることで、他国の疑念を打ち消すべきだ」
と述べた。

 また、
 「慰安婦問題や侵略問題を持ち出すのは、もちろんその国の権利だが、そのような言動がアジアの国々の関係にとって良いものなのかということを考える必要がある」
と指摘した。

 このニュースは、中国でも注目を集め、「中国版ツイッター」と呼ばれる簡易投稿サイトには、「自国の領土も守れなくて、何が名誉だというのか」 など、発言を非難する意見が多く寄せられている。
 以下は寄せられた意見の一部。

●.「名誉は釣魚島より重要なのか?」
●.「地位とは実力によって得られるものだ

●.「自国の領土も守れなくて、何が名誉だというのか」
●.「他人に取られたものを取り戻すことで名誉や地位を失うのか?
 酔っ払ってるんじゃないか」

●.「日本から賄賂でももらったか」
●.「リー首相は半分中国人なのに、最近中国を敵対視している
●.「彼は日本の血統なのだ。
 名前は『麻生シェンロン』か『安倍シェンロン』だ」

●.「他国のことに干渉するな」
●.「中国と日本の間の問題に口を挟むな。
 植民地国家に発言権はない

●.「中国に失う名誉があるのか?
 笑えるな
●.「彼の言うことに道理はある。
 だからわれわれは今のところ耐えているのだ


 簡単にいうと
 「都市国家風情が中国の大国政治に口出しするな!」
ということであろう。
 歯の浮くようなヨイショらいいが、中国に苦い言葉は吐くな、そんな器量はオマエにはないはずだ.
 確かに、都市国家レベルで強大国中国に意見すべきではないだろう。
 「おおきなお世話」
となり、怒るだろう。
 シンガポールは中国に対しては「ヨイショ」以外してはならないと思う。
 でないと危うい。

同じ記事をサーチナニュースで。


サーチナニュース 2013/08/23(金) 18:39
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2013&d=0823&f=national_0823_045.shtml

尖閣を得れば地位を失う…SP首相が中国に警告=中国版ツイッター

  中国の経済系メディアの21世紀網は、中国版ツイッターである微博の公式アカウントにて、シンガポールのリー・シェンロン首相が中国に対して
 「中国が尖閣諸島(中国名:釣魚島)を得れば世界的地位を失うだろう」
と警告したことを伝えた。

  21世紀網によれば、シンガポールのリー・シェンロン首相は
 「中国がどのように領土問題を解決するかは、各国の中国に対する見方に大きな影響を及ぼし、自制することで各国の疑惑は解消される。
 中国が尖閣諸島や南シナ海を手に入れれば、それと引き換えに名誉と世界的な地位を失うことになるだろう」
と警告した。

  リー・シェンロン首相の主張に対して「心から賛同する」というコメントもあったが、あくまでもごく少数であり、ほとんどの微博ユーザーからは反発のコメントが寄せられた。

  例えば
●.「世界的地位は武力によって引き上げていくものだ」、
●.「国の領土は侵犯を許してはならない。争わないことこそ弱さだ」、
●.「釣魚島は古来よりわが国固有の領土で、得るものとか失うものとかは関係ない」、
●.「釣魚島やスカボロー礁を取り戻せないなら、中国はどうやって世界の地位や影響を得るのだ?」
など、強硬な意見が多かった。

  また、
●.「名誉は失うだろうが、世界的な地位は上がるに違いない」、
●.「最初に考慮すべきなのは、地位ではなくて利益だ」、
●.「国際的地位って何? 
 金さえあれば国際的な地位は得られる
などの意見もあり、いずれにしても強硬姿勢を貫くべきとの見解だ。
 
  しかし、
●.「わが国に名誉や地位なんてあったか?
と、もとから中国には名誉も地位もないという意見や、
●.「リー・シェンロンが言いたいのは、釣魚島は中国のものではないってことだろ」
と首相の発言意図を読み取るコメント、
●.「中国は世界に負けてもいいが、日本にだけは絶対に負けてはならない
と反日むき出しのコメントもあった。

  尖閣諸島は日本の領土であり、現実に日本が実効支配している。
 リー・シェンロン首相が述べた
 「中国が尖閣諸島を得れば」というのは、暗に「武力などの強硬手段によって尖閣諸島を強奪すれば」という仮定の意味であろう。

  尖閣諸島については、米国も日米安保条約の適用範囲内であるとの見解を示しており、中国が強硬手段に出れば米軍も黙っていないと思われ、尖閣諸島についてはリー・シェンロン首相も心配無用だろう。


 シンガポールとしては
 首相がつい「本音を言ってしまった」
ので、周辺は火消しに追われている
といったところである。
 やりなれないことはやらないほうがいい、心で思っていても。


レコードチャイナ 配信日時:2013年8月24日 16時50分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=75941&type=0

シンガポール大使:シンガポールは中国との関係を極めて重視している―中国メディア

 2013年8月24日、新華網は記事
 「駐中国シンガポール大使:シンガポールは中国との関係を極めて重視している」
を掲載した。

 先日、香港メディア・大公網は、シンガポールのリー・シェンロン首相が東京で開催された国際会議において、
 「尖閣諸島や南シナ海で何かを勝ち取ったとしても、その代わりに名誉や世界での地位を失うことになるだろう。
 この件についてよく考えるべきだ」
と発言したと報じた。
 この報道は中国で反響を呼び、官製メディアの環球時報に反論コラムも掲載された。

 23日、シンガポールのLOH Ka Leung(羅家良)駐中国シンガポール大使は報道は誤っていると反論。
 会議での発言記録を公開した。
 また、シンガポール外務省も報道は発言の一部を切り取ったもので正確な報道ではないと環球時報に抗議している。

 LOH大使によると、リー首相は歴史問題が日本とアジア諸国が共に歩めない原因になっていると指摘したほか、
 中国の台頭は周辺諸国に利益をもたらすものであり、
 中国に恐怖を感じる国同士が集まって包囲網を形成するような考えには明確に反対した
という。



レコードチャイナ 配信日時:2013年8月25日 12時43分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=75966&type=0

中国官制メディア報道は事実と異なる、シンガポール外務省が批判声明―SP華字紙

 2013年8月24日、シンガポール華字紙・聯合早報は記事
 「リー・シェンロン首相の談話は事実と異なる誤報、
 シンガポール外務省が中国の環球時報を批判
を掲載した。

 先日、環球時報は香港メディア・大公網の記事を引用し、シンガポールのリー・シェンロン首相が東京で開催された国際会議において、
 「尖閣諸島や南シナ海で何かを勝ち取ったとしても、そのかわりに名誉や世界での地位を失うことになるだろう。
 この件についてよく考えるべきだ」
と発言したと報じた。
 この報道は中国で反響を呼び、環球時報は後に反論コラムも掲載している。

 23日、シンガポール外交部は報道は正確ではないとのコメントを発表し、こうした専門性を欠いた報道は中国とシンガポールの両国関係を傷つけかねないと批判した。

 シンガポール外交部は国際会議の発言記録も提出し、周辺国が協力して中国を包囲するという構想に対して反対を明言したこと、また慰安婦問題などについて日本が繰り返し問題にしていることがアジアとともに歩めない原因だと指摘したことを明らかにしている。


 シンガポールも大変だ。
 中国から「お叱り」をうけてドタバタドタバタ。
 都市国家もどきが強大国に意見を言えば、叱責をうけるのが関の山。
 ドタバタ劇を演じる位なら本音は言わないことだ。 


レコードチャイナ 配信日時:2013年10月4日 8時40分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=77399&type=0

「中国は今後30年間、米国との衝突は望まない」―シンガポール元首相

 2013年9月30日、聯合早報網は、同国のリー・クアンユー元首相が米誌・フォーブスに寄稿した文章を掲載した。以下はその概要。

 世界銀行の統計によると、中国のGDP水準は8兆2200億ドル(約805兆5000億円)であり、米国の15兆6800億ドル(約1536兆6000億円)に次いで世界第2位である。
 中国の輸出総額は世界トップであり、米国にとって第2の輸入相手国となっている。
 中国は2020年に1人当たりのGDPが1万ドル(約98万円)に達すると見られており、これは米国の5分の1に相当する。
 同じく2020年の中国の人口は米国の4倍を維持するだろう。これらを背景に、中国経済は高成長を続けるに違いない。

 米国の州間高速道路網が人や物の移動方式を変化させたように、中国は高速道路網を整備し、人口20万人以上の都市をつなぐネットワークを完成させることに力を注いでいる。
 その成果は、中米間の経済格差縮小に大きく貢献することになるだろう。

 米国人はなぜ多様なスキルと想像力を持っているのか。
 その答えを中国人はすでに知っている。
 イノベーションとクリエーションは米国文化の一部であり、移民社会の特徴でもある。
 一方中国は、四千年から五千年の歴史を持ち、従来のしきたりを固く守る国だ。
 今後30年間、中国は米国との衝突を望まないだろう。
 なぜなら中国人は自分たちが今後も成長を続けるとともに、科学技術においては米国にはるかに及ばないことを理解しているのだから。
 中国は今後も学生を米国に留学させ、中国をより一層発展させるための道を学ばせ続けるだろう。



【参考】
日本は隣国と友好関係結べ:シンガポール首相の前回失態の償い発言



減速する成長、そして増強される軍備


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