2013年8月31日土曜日

日本の軟化を「いつまでも待つ」中国:「長く、静かな戦い」という無言の合図

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 日本も強いて中国の関係を修復しようとは思わないだろう。
 こういう関係が続いている間に、これはチャンスと
 「このさい、為すべきことはやってしまおう」
というのが本音ではあろう。
 建前上は「日本は会話を待っている」というポーズをとるが、あくまでポーズにすぎない。
 中国としてはここまでガチャガチャにしてしまった関係上、民衆に対するアピールを維持し続けないといけないという役目がある。
 下手に手をうつと、それこそ民衆の反感が日本から政府当局に向けられるとも限らない。
 いまは、表面は華やかな舌句で賑わしながら、具体的には何もしないという様子見でいくしかない。
 どちらも、それぞれの思惑で動いている。
 両者ともいまは下手な対談を持つべきではないと心得ている。


jiji.com 。(2013/08/30-20:59)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013083000957

日本の軟化「いつまでも待つ」=尖閣問題で共産党序列4位-中国

 【北京時事】民主党の横路孝弘前衆院議長ら民主党訪中団が30日、中国共産党序列4位の兪正声・全国政治協商会議(政協)主席と、北京の人民大会堂で会談した。
 横路氏によると、沖縄・尖閣諸島をめぐる日中間の対立について兪主席は
 「紛争があることを認めて(日中の)先人が話したように問題を先送りすれば、すぐに解決する。日本側はそういかないだろうから、いつまでも待っている」
と述べ、日本側が柔軟化するまで妥協しない意向を示唆した。 
 横路氏が
 「紛争があるから解決しなければならない」
と持ち掛けたのに対して答えた。
 兪氏の発言に対して横路氏は
 「長引かせると何が起こるか分からないから早く解決すべきだ」
と応じたという。
 横路氏は「紛争がある」と述べたが、日本政府は尖閣諸島をめぐる領土問題は存在しないという立場。
 兪氏はこのほか、「中日関係は大事にしたい」と述べるなど対日関係重視の姿勢を示した。


 どちらも慌てずゆっくりと、たっぷり時間をかけて、いわゆる
 「長く、静かな戦い
でいこうと無言の合意をして、影の手を結んでいる。
 しかし、
 日本の軟化を「いつまでも待つ」
という表現は、これまでの中国の姿勢とはちょっと変わっている。
 いまにでも「軍事行動を起こすぞ」というう脅しと、「いつまでも待つ」という二面の姿勢を使い分けているのだが、
 「いつまでも待つ」では中国は日本と戦いたくない、という願望をモロ見せてしまうことになる。
 やはりここは「長く、静かな戦い」といったような表現にすべきであろうと思う。


NHKニュース 8月31日 7時15分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130831/k10014175891000.html

中国 尖閣問題いつまでも待つ

 沖縄県の尖閣諸島を巡って日中関係が悪化しているなか、中国共産党の最高指導部の1人は30日、 「われわれはいつまでも待つ」と述べ、日本側が領土問題の存在を認めないかぎり一切妥協しない考えを示しました。

 これは、30日、北京で横路前衆議院議長を団長とする民主党の訪中団と会談した中国共産党の序列4位で全国政治協商会議の兪正声主席が述べたものです。
 会談で、横路前議長は「現に争いがあるので解決しなければならない」と述べ、国際会議の場などを利用して首脳会談を開き、事態の打開を図るよう求めました。
 これに対して兪主席は「日本が争いがあることを認め、過去の指導者が話したように問題を先延ばしすればすぐに解決する」と述べ、領土問題の存在を認めたうえで問題の棚上げを求める従来の主張を繰り返しました。
 そして兪主席は、「日本側はなかなかそうはいかないかもしれないが、われわれはいつまでも待っている」と述べ、日本側が領土問題の存在を認めないかぎり、一切妥協しない考えを示したということです。
 中国の最高指導部の1人である兪主席の発言は、この秋から続く国際会議の場で日中首脳会談を模索する日本政府に譲歩を求めるねらいがあるとみられます。


 こういうことは日中では珍しいことではない。
 だからといってどうということもない。
 小泉政権時代もそうだった。
 中国の関係は冷戦状態であった。
 でも、経済は至極順当に動いていた。
 中国は日本からの投資と技術移転を深く望んでいたから、
 政治が冷ややかであっても経済の窓口を閉めることは出来なかった。
 同じような状況がまためぐってきたようである。
 「両者でいつまでも待っていれば平和な関係の時が流れる
というものである。
 日本の動きにブレはないが、中国はここ数年でどう変わるかわからない時期に入っている。
 予想外の結果が出てくる可能性もあるのが今の中国である。
 安易な結論の急ぎ過ぎはやめたほうがいい。
 いまはじっくりといくべきだろう。
 また、この発言のウラには中国は軍事による尖閣奪回はしない、という意味が隠されている。
 中国国内では昨年の当局の煽りによって、民衆が軍事行動実行の意見に踊らされた。
 これからそれをなんとか鎮めなければならない。
 でないと、尖閣という大義の動きが、究極では当局に向けられことは必死になる。
 自分で煽っておいて自分で鎮めなければならない
という予想外の結果になってしまっている。
 しばらくの間は
 「いつまでも待つ」
という論調を強く打ち出し、世論を何とかそれで鎮める方向でいくしかないだろう。
 もしそうなら、
 9月にあるかもしれない「尖閣問題一周年記念デモ」は行われない
だろう。
 中国は「首脳会談を拒否する」という強硬姿勢で日本と対峙している、というアピールで民衆をなだめることになる。
 中国の欠点は足元、つまり国内があまりに弱い、
ということである。
 日本には国内の政治不安はないので外部からの政治的圧力がそのまま政策に反映されるということがある。
 いま日本は中国という外圧にさらされている。
 こうした時の日本は一丸になりやすく、強くなる。
 中国はこういう日本とぶつかるべきではない。
 いまは、「いつまでも待つ」政策が最良の方法だろう、中国にとっては。
 「長く静かな戦い」の時期に入っているということであろう。


レコードチャイナ 配信日時:2013年8月31日 13時30分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=76224&type=0

唐家セン元国務委員「現段階では日中首脳会談を開催すべきではない」―中国


唐家

 2013年8月30日、中国の元国務委員で中日友好協会の唐家[王旋](タン・ジアシュエン)会長は、日本の九州・沖縄メディア訪中団と北京で会談し、現段階では日中首脳会談を開催すべきではないとの考えを示した。
 米華字メディア・多維新聞が伝えた。

 昨年11月に習近平(シー・ジンピン)政権が発足して以来、初めて日本のメディアと公式に会見した唐会長は、
 「国交正常化以降、日中関係は最悪の局面に陥り、未曽有の困難に直面している。
 現在首脳会談を開催すれば、かえって両国の対立点を目立たせることになるため、開催すべきではない
と語った。

 尖閣諸島問題については、
 「日本の尖閣国有化が13億人の中国国民を憤慨させた。
 中国は闘争を継続し、絶対に立場をぐらつかせない」
と強調した。
 同時に、
 「国有化以降、両国間の往来と経済交流は減少した」
と語り、日中両国国民の感情面での悪化に対して強い懸念を示した。
 対日政策については
 「戦略的互恵関係を発展させる政策は不変である」
としつつ、尖閣問題において日本に対話実現の努力をするよう呼びかけた。



レコードチャイナ 配信日時:2013年9月9日 6時40分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=76504&type=0

<レコチャ広場>中国人はなぜ日本に「永久不再戦」を求めるのか?

 2013年9月6日、中国のエンジニアでエコノミストの汪華斌(ワン・ホアビン)氏は、
 「われわれはなぜ日本に『永久不再戦』を求めるのか?」
と題した記事を中国のブログサイトに掲載した。以下はその概要。

 中国の政府も国民も、日本に永久不再戦を望んでいることは確かだ。
 このため、われわれは日本の態度に強い関心を抱いており、自分たちの意に沿わないことがあるとすぐに抗議する。

 われわれの戦争映画のなかの日本人はみな軟弱だが、
 私の周りにいる、かつて日本人と戦ったことのある年配の中国人たちは、口をそろえて「日本人は本当に凄いんだ!」と話す。
 「日本人の銃撃は非常に正確。
 銃剣を使わせたら、1人で何人もの中国人を突き殺すことができる」
と語る彼らは、今でも心から日本人を恐れている。
 彼らこそが、真の戦争経験者なのだ。
 中国人は表面上、「日本人など取るに足らない」といった態度をとるが、
 心の中では日本人を怖がっている。

 中国は抗日戦線に勝利したと主張するが、
 日本人は中国に負けたとは思っていない。
 ソ連が崩壊しても戦勝記念日があるロシアや、ノルマンディー上陸作戦記念日のある英米のように、日本には靖国神社参拝活動がある。
 だが、中国にはこうした戦争の記念活動はない。
 中国にあるのは中華人民共和国成立の祝いと中国共産党の誕生祝いだけで、外国との戦争は忘れられているようだ。

 なぜ中国は日本が永久不再戦を誓うことを求めるのか?
 もしも他国が脅威に感じるほどの実力が中国にあるのならば、誰も中国と戦争しようとは思わないだろう。
 日本が永久不再戦を誓わなかったとしても、それがどうしたというのだ。
 誓うか誓わないかは日本が決めることだ。
 そして、われわれに戦争を受け入れる実力と能力があるか否かは、われわれの問題なのだ。




減速する成長、そして増強される軍備


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中国:紛争は直接関係する国だけで解決されるべき、紛争の複雑化は反対

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●常万全中国国防相(中央)、ASEAN拡大国防相会議後の記者会見で(29日、ブルネイ)


ウオールストリートジャーナル     2013年 8月 30日 10:44 JST
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887323779204579043721893183040.html?mod=trending_now_1

中国、南シナ海での紛争解決目指す多国間アプローチを拒否 
By JULIAN E. BARNES

【バンダルスリブガワン(ブルネイ)】
 中国の常万全国防相は29日、南シナ海における紛争を解決するための多国間アプローチには反対するとして、東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国の姿勢を批判した。

 同国防相は、ASEAN拡大国防相会議後の記者会見で、南シナ海での紛争がASEAN加盟10カ国と中国との関係を損ねてはならないとした上で、多国間アプローチに反対する理由として、
 ASEANには紛争で果たすべき役割がないことを挙げた。
 同国防相は
 「これらの紛争は直接関係する国だけで解決されるべきだ
とし、
 「中国は紛争の国際化や複雑化はいかなるものであれ反対する
と強調した。

 同国防相の発言は、中国国営通信社記者の質問に回答したもので、通訳を介して伝えられた。中国のこうした姿勢は目新しいものではない。

 米国の当局者らは、常万全国防相のコメントに驚いていないと述べるとともに、中国はそれにもかかわらず、同海域での海上規則を構築する行動規範策定を交渉することでASEANと合意したと指摘した。

 ただ、常万全国防相の発言は、ASEANに関する米国と中国の見解が大きく異なることを明確に示す形となった。
 米国は領土紛争の解決法について特定の見解を持っていないが、南シナ海での紛争を解決するための共通アプローチを見いだす上でASEANが一定の役割を果たすことを期待している。

 29日の国防相会議で出された共同宣言には予想外のことはほとんどなかった。
 しかし、米国の国防当局者は、同海域を航行する船舶間の紛争を回避するための実際的な措置を取ることをASEANが支持したことに勇気づけられた、と述べた。
 会議参加国は同海域における船舶間の衝突を回避するために、もっと合同軍事演習を行うべきだとの提案を承認した。

 会議を主宰したブルネイのヤスミン・エネルギー相は
 「海上での偶発的で望ましくない衝突を減らす」
ためのメカニズムを構築することで合意できたと述べた。
 南シナ海には石油・天然ガス資源が豊富に眠っていることから、同海域ではここ数年緊張が高まっている。

 ヘーゲル米国防長官は会議で、軍事協力および東南アジアでの合同演習の改善について一連の提案を行った。
 事前に配布された発言コピーによると、同長官は
 「合同演習は信頼と理解を高めるのに役立ち、紛争が起きた時にリスクを減らすことになる」
と語った。
 また、アジア諸国に対して、人命・災害救助に関する標準手続きを米国とともに作り上げるよう要請し、これによって危機時の通信、指揮、コントロールが改善されると述べた。
 さらに、より活発な多国間対テロ対策、情報共有の改善などを提案。
 イラク、アフガニスタン戦争時に米国が開発した軍事医療技術の共有を申し出た。

 米国は東南アジアでの活動をテロと海賊対策、それに人道的危機への同盟国の対応能力向上に重点を置こうとしている。

 ヘーゲル長官はサイバー犯罪もそのリストに加え、北朝鮮はアジア太平洋地域全体を危機にさらしていると批判した。
 同長官は
 「海賊やテロリスト、大量破壊兵器所有国、疾病、自然災害、それにサイバー犯罪に国境はない。
 われわれが共同で対処できなければ、これらがわれわれ全ての将来を脅かすことになる」
と指摘した。



サーチナニュース 2013/08/31(土) 06:31
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2013&d=0831&f=politics_0831_002.shtml

南シナ海問題はわが国とASEAN関係の大局には影響せず=中国

  中国の王毅外交部長は29日、中国・ASEAN(東南アジア諸国連合)特別外相会議後の記者会見で、
 「中国とASEANには南シナ海の平和と安定を維持する力がある」
と自信を示した。
 中国国際放送局が報じた。

  王毅外交部長は
 「中国・ASEAN特別外相会議は、中国とASEANが協力を強化し、相互信頼を強めるかについて討議するもので、南シナ海問題を回避するものではない。
 南シナ海問題は平和と安定を保っているが、各方面は現在の状況を大切にすべきだ
と述べた。

  また、
 「南シナ海の航行の自由は過去にも問題ではなく、今後も問題にならない。
 南沙島嶼の主権をめぐる争いは中国とASEAN間の問題ではなく、中国とASEANの関係の大局には影響しない」
と述べた。


 中国が
 「各方面は現在の状況を大切にすべきだ
なら、尖閣問題など発生しないのだが。
 誰でもそうだが、相手にはいうことを自分でやってくれればいいのだが、そうもいかないようだ。



減速する成長、そして増強される軍備


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2013年8月30日金曜日

中国経済の奇跡は幕を下ろす:ポストチャイナが中国に代わることはない

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●26日、30年以上にわたって続いた中国の経済発展の奇跡は幕を閉じ、低賃金やその他の優位性を兼ね備えた他の国々が台頭しつつあるとの分析を米紙が発表した。資料写真。


レコードチャイナ 配信日時:2013年8月30日 9時17分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=76110&type=0

中国経済の奇跡は幕を下ろし、新興16カ国の時代が幕を開ける―米メディア

2013年8月26日、30年以上にわたって続いた中国の経済発展の奇跡は幕を閉じ、低賃金やその他の優位性を兼ね備えた他の国々が台頭しつつあるとの分析を米マイアミ・ヘラルド紙が発表、東北網が伝えた。

米国のグローバルインテリジェンス企業が発表した戦略予測の新報告によれば、“ポストチャイナ”には16カ国が挙げられている。
インド洋の海底盆地に位置するアフリカ・アジアの国と、メキシコ・ペルー・ドミニカ・ニカラグアのラテンアメリカ4カ国がそれに該当する。
これらの国家は疑いなく中国の衣鉢を継承して高度経済成長を遂げ、低賃金の輸出国となる。
中国は大きい国のため、他の国や地域がこれに取って代わるのは困難だ。
これは、中国の継承者が1つの国家ではなく、発展レベルが同等の複数の国家であるということを意味する。

2012年の中国の輸出額は7.9%増えて2兆500億ドル(約200兆3055億円)に達した。
しかし、中国では賃金が上昇しているため、外国の投資対象としての関心は薄れて発展が無秩序となり、中国経済の奇跡はほどなく限界に達するだろうと予測する。
一方、ポストチャイナ16カ国への投資は増加しつつあり、2009年から現在までに、ニカラグアの外国からの直接投資額はほぼ倍増した。

しかし、米州評議会のエリック・ファーンズワース副議長は
「賃金の上昇に伴い、中国は収入が中等レベルの国となるだろう。
だが、一部業種は衰退するかもしれないが、すべての業種においてではない。
主な原因は中国の絶対的生産能力だ。
中国とニカラグアを比べるのは、ゾウとネズミを比べているようなものだ」
と語り、ポストチャイナが完全に中国に取って代わることはないだろうとの見方を示した。



レコードチャイナ 配信日時:2013年8月27日 15時10分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=76050&type=0

<在日中国人のブログ>
日中対立の長期化、企業はどこへ進むのか?

 2013年8月26日、華字紙・中文導報の楊文凱(ヤン・ウェンカイ)編集長は
 「中日対立の長期化:企業はどこへ進むのか?」
と題した記事を中国のブログサイトに掲載した。 
 以下はその概要。

 昨年9月11日の日本政府による尖閣諸島国有化以来、日中関係は重症を負い、回復の兆しはいまだ見られない。
 この1年余り、両国の政治的関係は氷河期へと落ち込み、経済協力、貿易、観光など各分野が後退し、活力を失っている。

 尖閣諸島の国有化は両国民の感情を傷つけただけでなく、両国の経済関係により深い影響を与えている。
 日中対立の長期化は、中国を戦略拠点に位置づける日本企業およびその経営活動にとって致命傷となり、日本企業の中国撤退を促し、思いを事実に変え、議事日程にのせるものとなっている。

1].調査からわかった日本企業が感じる恐れ

 調査によると、中国進出企業の8割近くが反日ムードによる影響を今でも受けていると答えている。
 業績が昨年9月11日以前の水準まで回復していない企業は3割強に上る。
 とはいえ企業の国際戦略において中国市場は日々重要度を増しており、8割以上の企業が今後も引き続き中国市場を重視すると答えている。

 尖閣諸島の国有化以後、中国各地では激しい反日運動が起き、日本製品ボイコットがその重要な手段となった。
 同調査によると、中国での企業活動に影響があったと答えた企業は7割近くに上る。
 具体的に見ると、最も多い回答が「売上高減少」で全体の72%、「市場開拓の停滞」が41%、「国家機関や国有企業とのビジネスの難しさ」が24%となっている。

 中国進出企業の最近の売上状況を見ると、国有化問題発生前の水準まで回復した企業は41.9%で、当時の水準を上回った企業も18.6%に上る。
 しかしながら、以前の水準まで回復していない企業も24.4%あり、とりわけ自動車、観光、小売業などの回復のスピードは鈍いものとなっている。
 昨年9、10月の中国における日本車の販売額は前年同期比30~50%減であり、今春以降も上下動を繰り返す不安定なものとなっている。

 調査に協力した中国進出企業の大多数が尖閣諸島問題の解決について慎重な態度を示している。
 「問題発生以上の状態まで回復する」と答えたのはわずか11%に過ぎず、「一時的に緩和する」と答えた企業が65%と多数を占め、「厳しい状況が続く」と答えた企業も約2割に上る。

 中国は13億の人口を抱える戦略的市場であり、最大の販売拠点として、日本企業は依然として重視している。
 「中国での業務を拡大する」と答えた企業は3.2%、「業務拡大を検討中」が25.6%、「当初の計画通り業務展開し、変更はない」が59.2%。
 「中国事業縮小化に着手している」と答えた企業は1.6%にとどまり、「他の方針を検討中」が10.4%となっている。
 例を挙げると、新日鉄住金は自動車用鋼板の生産を主とする合弁企業を中国に設立する計画で、三井不動産も上海に大型ショッピング施設建設を計画中だ。
 日本企業が政治面やビジネス上のさまざまなリスクを乗り越え、中国での経営基盤強化に力を入れていることが見て取れる。

 2013年上半期、日本企業による中国への直接投資額は前年同期比14.4%増えた。
 このことは、日本企業が中国市場を重視していることの現れだということができる。
 しかし、一方では「投資行為の停滞によるもの」との意見もある。
 尖閣問題による影響により中国への新規投資を控える動きがあるが、自動車関連産業においては中長期の投資プロジェクトの実施が求められている。

2].日本の対中貿易額が5年ぶりに減少

 日本貿易振興機構(ジェトロ)が公表しているデータによれば、2013年上半期の日中間の貿易額は1472億7000万ドルで前年同期比10.8%減、2009年以来初の減少となった。
 日本の対中貿易赤字は約244億ドル、前年同期比1.4倍増で過去最高となった。

 2013年上半期の中国向け輸出額は前年同期比16.7%減の614億3000万ドルで2年連続の減少。
 日本の対中輸出が低迷したことにより、この5年間で初めて米国が日本の最大の輸出相手国となった。
 日本の輸出総額に占める対中輸出額の割合は0.8ポイント減の17.2%。同18.3%の米国に追い抜かれた格好だ。

 ジェトロの分析によれば、中国の内需停滞やインフラ設備投資の減少により、建設機械や半導体、自動車といった日本の主な輸出製品の中国向け輸出が低迷したことが、日中間の貿易額が減少した主な理由だ。
 中国経済を牽引してきた対外輸出が6月にマイナス成長となり、7月に貿易統計が公表されるや、読売新聞は「中国経済の減速が強まる」と報じ、朝日新聞が「中国の対外輸出が軟調」、毎日新聞も「中国の対外輸出減少は改革を阻むだろう」と報じている。
 日本経済新聞も「中国の景気はソフトランディングできるか微妙」、産経新聞も「中国経済の先行きに暗雲」と報じた。

 このほか、日本の対中輸出が減少した理由として、中国における労働コストの上昇と日本円の下落という2つの要素が中国製品の日本における競争力を低下させ、労働密集型の産業に影響を及ぼし、日本の繊維メーカーの中には中国工場を撤退しベトナムやインドネシア進出を図る動きも出てきている。
 「中国紡績報」が報じたところによると、今年上半期、中国製繊維製品全体に占める日本への輸出品の割合は71.4%まで減少した。
 ちなみに割合が最も高かったのは2005年で、81.1%を占めていた。

3].「中国撤退」セミナーが日本企業に人気

 日中両国の対立の長期化と中国経済の見通しの不透明さを見越して、日本の中小企業の中には事業の発展戦略を見直し、中国からの撤退を選択するものも少なくない。
 そうしたことから、中国から撤退するための手続きや税収などを解説するセミナーが人気を得ている。

 神戸商工会議所は7月、「中国ビジネスリスクのとらえ方」「中国ビジネス戦略の見直し~継続か撤退か」をテーマとしたセミナーを開催。
 70人超の受講者を集めた。
 中国の法制度に詳しい税理士の近藤充氏が講師を務め、昨秋以降、毎月セミナーを開催している。

 昨年9月に尖閣問題が激化して以降、日本の経済団体や地方自治体は相次いで中国ビジネスリスクをテーマとしたセミナーを開いてきた。
 東京商工会議所が11月に行ったセミナーには100人もの企業経営者が出席。
 今年1月に大阪商工会議所が開いた同種のセミナーにも80人が参加した。
 神戸商工会議所が7月に行ったセミナーでアンケートをとったところ、中国での新事業を計画している企業は10%に満たなかった。
 日本の国際協力銀行が昨年11月に製造業を対象に行った海外事業に関する調査でも、6割の企業が「中国事業に対し、慎重な対応や再調整が求められる」と答えている。
 うち75%の企業が、事業を中国以外の国や地域に分散させる、いわゆる「チャイナプラスワン」が必要と回答した。

 「中国への進出は難しく、撤退はなお難しい」は共通認識となっている。
 中小企業は舵取りの変更も容易だが、中国において戦略的な投資を行っている大企業にとっては細心な意思決定のもとに市場を守らねばならない。
 近年、日本企業のローカライズが注目を集めている。
 2011年4月にトヨタ中国法人の執行副総経理に董長征(ドン・チャンジョン)氏が中国人として初めて就任して以来、トヨタの中国における二大合弁会社の一つ、一汽トヨタは今年8月から、田聰明(ティエン・ツォンミン)氏を一汽トヨタ自動車販売有限公司の総経理に任命した。
 設立10年目にして初めて中国人がトップに就任したことになるこの人事は、トヨタが中国市場を最重要視し、ローカライズ戦略を進めてきたことによるものであり、トヨタによる人材ローカライズ戦略の典型例だ。

4].日本企業はいかにして中国市場で勝利をつかむか

 あるマーケットアナリストによれば、両国関係が不穏で長期間にわたり対立する状況下では、中国進出企業の「勝ち組」と「負け組」の二極化がより加速するという。
 いかにして「勝ち組」を増やすのか?トヨタのように、生産から販売、管理、そして人事に至るまでローカライズすることが、越えなければならない高いハードルとなっている。

 1980年代なかばからの20年間は、日本企業による中国進出は「製造」が主な事業であった。
 しかし2005年からは、人件費の高騰や人民元為替レートの上昇、輸出優遇政策の減少などにより、中国における生産コストは急激に上昇した。
 2010年以降になると、中国人の給与水準が大幅に増加し、国内市場が急速に拡大。
 中国は「製造工場」から「消費市場」へと変化し、日本企業の中国ビジネスの主軸は「販路拡大」へと方向転換した。

 製造業が主流の時代には、日本企業はその技術と生産管理方式を中国での経営に導入し、中国人幹部や従業員は日本人の指導のもとで優秀な人材へと成長した。
 しかし今日のような販売が主流の時代では、中国市場で成功を収めるには、中国の市場を把握し販路に精通した現地の優秀なスタッフが欠かせない。
 中国進出企業がローカライズを進める過程においては改革の苦しみを伴うが、これは大事な一歩を踏み出すためには欠かせないことでもある。
 ユニクロや日産、ホンダなどの中国における発展の軌道を見れば、ローカライズこそが政治的リスクを避け、マーケットに身を投じるための最良の選択であることがわかるだろう。

●楊文凱(ヤン・ウェンカイ)
日本華字紙・中文導報編集長。上海の復旦大学中国語学科卒業。95年に来日。98年に中文導報入社。著書にコラム集「卒業10年」、社説集「天涯時論」、インタビュー集「人在旅途」など。
※本記事は著者の承諾を得て掲載したものです。



ロイター 2013年 08月 30日 15:48 JST
http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPTYE97T05R20130830

焦点:世界の対中投資が再び急増、逆風下の日本企業には課題も

[東京 30日 ロイター] -
  世界の対中国直接投資が昨年の落ち込みから回復、再び勢いづいている。
 尖閣問題という逆風下にある日本も今年上半期は2ケタ増となった。

 しかし、投資額ではトップにある日本は、伸び率では韓国、米国、ドイツの後塵を拝しており、各国の追い上げは激しい。
 反日感情に神経を尖らせながらのビジネスを続ける企業もなお多いほか、主戦場となる内陸部への食い込みにも課題を抱えている。

■<日中関係悪化でも日本からの投資は2ケタ増>

 「尖閣問題(による反日暴動)以降途絶えていた日本企業の訪問が再び急増している」
--中国内陸部湖北省最大の都市・武漢市の委託を受けて日本企業の誘致窓口となっているシスプロ(大阪府)の興津一夫・武漢事務所長はこう語る。
 同氏によると、今年4月以降の進出案件が12件、うち6件が具体化した。

 今年上期に日本企業が実施した対中投資額は約50億ドル。
 香港を除いたベースでは諸外国中最も多い。
 前年比では15%増と、尖閣問題があったにも関わらず、2ケタ増を示した。

 中国問題に詳しいキャノングローバル戦略研究所の瀬口清之・研究主幹も
 「今年は尖閣問題によって日中関係が過去最悪の状態にあり、直接投資の伸びは昨年に比べて大幅に鈍化するか、または前年の水準を下回るのではないかと考えられていた」
と指摘、
 「前年とほぼ同じ伸びに達した」
と驚きを隠さない。

 日本企業の中国現地法人の売上高は決して良い状況ではない。
 昨年10─12月期以来、製造業現地法人では前年比10%以上の大幅な減少が続いている。
 にもかかわらず、中国に投資をしようという進出の勢いは前年を上回っている。

■<海外勢も投資再開、7%台に減速しても手綱緩めず>

 しかし、海外勢は日本以上の勢いで投資を再開している。
 韓国は19億ドルと規模はまだ日本に及ばないながらも伸び率は50%。
 米国は20%、
 ドイツは40%など、
日本を大きく上回る。

 昨年は世界経済が減速した影響もあり、世界の対中直接投資は前年比4%近く減少。
 加えて中国全体の成長率自体は、質の重視への政策転換もあり、従来の8%から7.5%へ目標を落としている。

 各国が今年になって再び猛烈な勢いで投資を再開したのは、昨年の減速の反動もあるほか、中国消費市場の拡大ペースが他市場の追随を許さないからだ。
 日本貿易振興機構(JETRO)によれば、2012年1年間の名目のGDP増加額は約7400億ドルとトルコ1国分に匹敵しており、各国の進出企業は市場開拓をさらに強化する方向にある。

■<主戦場の内陸部、小売業の進出活発化>

 各国の中国ビジネスにとって、主戦場となっているのは成長率の高い内陸部。
 沿岸部の成長率が7%を割るほど減速している一方で、内陸部では、人口2800万人の重慶を始め、1000万人超の武漢や成都などの大都市が11─13%の成長を続けている。

 人件費や不動産価格も沿岸部に比べて安く、労働集約型産業やローエンド製品の生産工程を沿岸部から移転するメリットが大きいと見られている。

 日本企業は、内陸部には自動車産業が先んじて進出している。
 しかも投資は勢いが衰えておらず、ホンダは 昨年武漢で第2工場が稼動、スズキは重慶に第2工場を建設中だ。

 注目すべき変化は、中国を消費地として開拓する動きが加速していることだ。
 四川省成都を中心に小売業の進出ラッシュが始まっている。
 食料品スーパーでは、フランスのカルフールが店舗数で圧倒的なシェアを持つが、日本の小売業も沿岸部から内陸部へと歩を進めつつある

 最近、日本企業の誘致に力を入れ始めているのが武漢市だ。
 ここでも流通業や小売業の進出が勢いがついてきた。
 昨年はユニクロが6店舗展開、無印良品を3店舗など相次いでオープンさせた良品計画では
 「東京都に匹敵する人口を擁する都市として、現状の店舗数はまだ拡大余地が大きい」(広報)
とみている。
 2014年はイオンも武漢に中国内陸部初出店の計画だ。

■<反日感情で神経質に、地元との連携不可欠>

 ただ、日本企業の間には、尖閣問題をめぐる反日暴動の後遺症があり、いまだに思い切った宣伝活動もままならないというハンディを抱えている。

 内陸部への販売網展開による成功例と言われるダイキン工業でも、中国関連事業への取材受付やPRを避けているほか、日本企業であることを前面に出さないような販売方法を模索する企業もある。

 また内陸部市場を沿岸部とはビジネス環境が異なることもあり、進出には慎重さもうかがえる。

 内陸部攻略の難しさについて、セブンイレブン・ジャパンでは「まず物流に欠かせないインフラ整備が沿岸部に比べて遅れている。
 また、顧客ニーズの把握や流通オペレーション、物流工場など、販売網構築のための見極めが難しい」(広報)という。
 進出実現には、現地企業との連携により、情報やマーケティングが欠かせないとしている。
 同社では今後新たに重慶で展開するにあたり、三井物産、地元食品企業と提携した。

 JETROは、中国での販路拡大には良いパートナーと連携することが成功のカギだと指摘する。
 また、売上をさらに拡大するためには、進出日系企業のみならず、非日系外資系企業や中国地場企業にも販売を強化していくことが必要だと指摘している。

 瀬口氏も、内陸部の販路拡大でうまくいっていない日本企業も多いと指摘。
 情報の獲得には中国人の活用が欠かせないと指摘。
 日本企業の多く採っている事業部制からエリア制に移行し、中国人トップを据えて現地化をはかっていこと重要だとみている。

(ロイターニュース 中川泉 編集 北松克朗)


 中国からは第二次産業は撤退し、小売・運輸・サービスといった第三次産業が進出する。
 第二次産業も中国を消費市場とする生産群は進出する。
 だが、中国を「世界の工場」とみなす生産企業は撤退する。
 つまり、
 「中国は巨大な消費市場」とする生産・サービス業は進出し、
 中国で生産したモノを輸出する産業企業は周辺国へシフトしていく
ということになる。
 これが今後の中国への産業進出の考え方になるだろう。
 問題は中国のバブルがいつ崩壊するかだ。
 バブルが崩壊したとき、いちばんダメージをくらうのが第三次産業である。
 一気に消費が冷え込む。
 巨大な消費市場が突然フーセンがパンクしたように縮小する。
 これがバブルの崩壊である。
 ここは資本主義ではなく、独裁主義国がゆえにバブルは起きないという説もある。
 実際はどうなっていくのか、前例がないので分からない。
 だが、前もって気遣いしておいた方がベターだということはありえる。
 



減速する成長、そして増強される軍備


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中国:習政権は憲法維持と改革を唱え、一方で「主張する市民」の弾圧する

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●閉鎖的 全人代開催中の3月、天安門広場の前で写真撮影を止める警官 Petar Kujundzic-Reuters


ニューズウイーク 2013年8月27日(火)16時11分
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2013/08/post-3023.php

中国の改革に口出しは無用
China Arrests Citizens Seeking to Uphold their Constitution
by ベンジャミン・カールソン

習政権は憲法維持と改革を唱える一方で「主張する市民」の弾圧を続けている
[2013年8月27日号掲載]

 習近平(シー・チーピン)は中国の国家主席は昨年11月の総書記就任以来、法治国家として憲法を堅持すべきだと口先では強調してきた(そう、中国にも憲法はある)。
 なのになぜか、主張を同じくする市民の弾圧に乗り出している。

 最近も著名な活動家が犠牲になった。
 「新公民運動」を始めた法律家の許志永(シュイ・チーヨン)だ。
 「群衆を集めて公共の秩序を乱した」として、先月半ばに逮捕された。

 4月から自宅軟禁されていた許があらためて逮捕されたことを、活動家たちは「露骨な警告として受け止めた」と、香港中文大学のエバ・ピルス准教授は言う。
 「彼だけでなく、運動そのものへの周到な対抗措置だ」

 新公民運動はその名のとおり、昨年始まった新しい運動だ。
 発足時の声明によると「良心と義務、民主主義、法の支配、『近代市民』の概念を共に守ることを決意し、正義と法治を希求する中国市民」の集まりだ。

 活動家や賛同者が緩やかにつながり、現状の法律と政治の枠内で、憲法が保障する権利を実現しようとしてきた。
 82年公布の現憲法には、言論と集会と出版の自由が盛り込まれている。

 彼らはネット集会を催したり、国内各地の月例食事会で時事問題を話し合ったりする。
 市民を意味する「公民」と書かれた、青と白のバッジも配っている。
 「私たちはみんな公民で、その地位だけは国家も奪えない、という考えをすべての人に伝えようとしている」
と、ピルスは言う。
 「当然ながら、それは政治的に深い意味を持つ」

■市民と政府の感覚のずれ

 今月初旬には活動家の尽力で、拘置所にいる許からの動画メッセージが発表された。
 ひげが伸び、手錠姿の彼が自由と公益のために「どんな犠牲も払う」覚悟を表明し、国民に向かって「氏名の前に『公民』という言葉を付ける」よう呼び掛けた。
 
 2日にはジャーナリストの笑蜀(シャオ・シュー)が許の釈放を要請する公開書簡を発表し、警察に身柄を拘束された。
 許の収監は「司法制度に対する破壊工作」と主張したためだ。
 11日には反体制活動家のも、「公共の秩序を乱した」かどで逮捕された。
 弾圧が「転換点」となり、運動が活発化して団結が強まると論じたからだ。

 今年に入って、少なくとも40人の新公民運動参加者が身柄を拘束されたという。
 だが皮肉なことに、許は数々の著名な反体制家と異なり、今の政治体制を倒すのでなく、その中で努力しようと訴えてきた。
 実際、政府高官に資産公開を求める彼の主張などは、習政権の汚職撲滅作戦とまさに合致する。

 ただし中国共産党の指導部は、憲法にしろ市民にしろ、外部への責任を問われることを望まない。
 習政権は「国民に対して、説明責任を果たす様子が見られない」とジョージ・ワシントン大学法学大学院のドナルド・クラーク教授は述べる。
 「だからと言って、指導部が真の改革を望まない分野があるとか、できないというわけではない。
 ただ、対外的な説明責任を伴わない改革になるだろう」
 自分たちでできるから、市民は口を出すなということだ。

From GlobalPost.com特約



JB Press 2013.09.02(月)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/38555

中国人の本音は「権力者に君臨してほしい」?
はたして政治改革の日は来るのか

 中国の清華大学・胡鞍鋼教授(経済学)は最近
 「中国共産党の集団指導体制は明らかにアメリカの大統領制より優れている」
と唱えている。

 胡教授によれば、アメリカの大統領制では大統領に権限が集中しすぎるため、間違った判断に歯止めがかからない。
 その判断はアメリカ全国民に大きな不利益をもたらすことになる。
 大統領本人が被る不利益はせいぜい弾劾されるだけと言われている。

 胡教授の言いたいところは、大統領制では権限が極端に集中するからリスクが大きい、一方、中国共産党の集団指導体制では権限は「チャイナセブン」と言われる常務委員に分散されるのでリスクも分散される、そして7人の指導者の知恵はアメリカ大統領1人の知恵より優れている、ということだろう。

 アメリカで留学・研修をした経験を持つ同教授は日本にも数十回訪問したことがある。
 日米社会の実情と中国社会の現状をどこまで踏まえてこのような判断を下したのかは不明だが、共産党集団指導体制の方がアメリカの大統領制よりも優れていると断じるには、より客観的な考察が必要になる。

 例えば、毛沢東時代の独裁政治をきちんと総括すべきである。
 同教授が指摘したアメリカ大統領制の弱点は、現在のアメリカ大統領制のものというよりも、毛沢東時代の独裁政治の弊害そのものだった。
 否、毛沢東時代の独裁政治の弊害は、言われているよりももっと大きく深刻なものだった。
 毛沢東は間違った判断を下しても辞任する必要はなかった。
 ちなみに、アメリカ大統領の権限は議会のチェックアンドバランス機能によって制限されている。

■中国人の「奴隷性」とは?

 共産党の集団指導体制は、理論的には確かに優れている面も存在する。
 1人の指導者ではなく、指導部のみんなが民主的に決めることで、間違った判断を避けることができる。

 ただし、集団指導体制が機能する前提として、意思決定のすべてのプロセスを透明にしなければならない。

 現在、共産党中央の意思決定プロセスは完全にブラックボックス化されている。
 かつて江沢民政権の時代、全人代での法案審査と人事決定についていくらかの反対票と棄権票が投じられていたが、近年、法案と人事がほとんど全会一致で採択されている。

 振り返れば、これまでの三十余年間の「改革開放」政策は
 経済改革に終始し、政治改革は実質的にタブー
とされてきた。
 鄧小平以降の歴代指導者は政治改革を行う必要性を十分に認識していたが、
 政治改革を行えば、共産党の支配体制は崩壊
する恐れがある。
 このことは旧ソ連や東欧諸国の結末から容易に想像できる。
 また、近年の「アラブの春」と呼ばれる革命から見ても、
 独裁政治から民主主義政治への制度移行は必ずしも社会の平和と繁栄をもたらすものではない。

 実際のところ、普通の中国人に政治改革について尋ねると、その必要性を否定する者は少ないが、簡単には成功しないと見る者が大半である。
 これは、上で述べた胡教授が論文の中で指摘する中国社会の複雑性の表れであろう。

 もっと極端な論者の指摘もある。
 中国人が、2000年の封建社会の中で権力者に君臨されることに慣れている
というのである。
 多くの中国人は人権や自由を求めるよりも、腹いっぱい食べられればそれでいいと考えている、という論考も存在する。
 このことは中国人研究者の間で「中国人の奴隷性」と表現されている。

■問われることのない政治指導者の責任

 中国では、共産党員の先進性がその正統性の担保になっていると言われている。
 すなわち、共産党員は特別な資質を持った者であり、簡単には腐敗しないというのである。
 しかし、個々の共産党員を見ると、もちろん生身の人間であり様々な欲望を抱えている。

 毛沢東の時代、「共産党幹部は人民の公僕である」と言われていたが、独裁政権では人民の公僕となり得ない。

 民主主義の国では、国民は納税者であり、行政は国民に対して行政サービスを提供する。
 政治家は選挙で選ばれるため、常に国民の監督を受ける。
 また、すべての国民は法の統治により法律で禁止されている行為を行ってはならない。

 それに対して、社会主義体制では納税者の納税意識が低く、行政には、国民に行政サービスを提供しようという意識はない。
 むしろ、その権力をもって自らの利益を最大化しようとする。
 政治家は選挙で選ばれていないため、国民の監督を受けない。
 政治は法の統治を受けず、法を凌駕してしまう。

 胡錦濤前国家主席や温家宝前首相は在任中、外国の記者団に対して政治改革に取り組む意欲を繰り返して示したが、在任中の10年間、何の改革も行わなかった。

 社会主義体制の弱点の1つは政治指導者の責任が曖昧にされていることである。
 温家宝前首相の時代、石炭の炭鉱爆発事故が数十回発生し、少なくとも数百人もの炭鉱労働者が犠牲になった。
 にもかかわらず、国務院総理として責任を問われることはなかった。
 温家宝首相はときどき犠牲になった労働者家族を慰問し、同情する言葉をかける。
 まるで自分も犠牲者の親族であるかのような演出をするが、責任を取ったことは一度もない。

 習近平政権になってから、共産党は幹部の腐敗撲滅に躍起となっている。
 しかし、共産党幹部はすでに強い「免疫力」を備えている。
 現在、共産党幹部の贅沢な飲食は禁止されている。
 「粛清」を避けるために、この時期に高級レストランでふかひれやアワビなどを食べる者は確かに減少している。
 しかし、それでは腐敗が撲滅できたとは言えない。

 例えば、最近、無期懲役の判決を受けた前鉄道大臣が数千万元(数億円)もの賄賂を受け取ったが、鉄道大臣の責任だけにされ、国務院総理の責任は問われていない。

 中国の政治と行政システムでは、すべての権限は党に集約しているが、問題が起きたときの責任について党を訴追することができないため、曖昧に処理してしまう傾向がある。
 中国政治体制では、任命権者の責任を問うことができない

■政治と行政の権限と責任を明確に

 かつて中国で国有企業改革を行うとき、政府機能と企業経営機能を分離する試みが行われた。
 最終的には、国有企業をすべて株式会社に転換させ、その資本関係をもって所有を明らかにした。
 同時に、企業から学校や病院などのソーシャルサービス機能を切り離した。
 今日の国有企業改革は依然として不完全な形だが、かつての計画経済時代の国有企業に比べれば大きく前進したのは間違いない。

 政治改革の方向性についていきなり先進国の民主主義の選挙制度を導入することは現実的に不可能である。
 差し当たって重要なのは、国有企業の改革のように政治と行政を分離することであろう。
 行政が、国民の税金をもとに国民に対して行政サービスを提供することである。

 政党や政治は立法が主な仕事であり、それが行政に入り込んでしまうことから権力と責任が曖昧になり、腐敗が横行してしまう。
 したがって、習近平国家主席は幹部による贅沢な飲食を禁止することも重要なことだが、政治と行政の権限と責任を明確にすることが何よりも重要である。

柯 隆 Ka Ryu
富士通総研 経済研究所主席研究員。中国南京市生まれ。1986年南京金陵科技大学卒業。92年愛知大学法経学部卒業、94年名古屋大学大学院経済学研究科修士課程修了。長銀総合研究所を経て富士通総研経済研究所の主任研究員に。主な著書に『中国の不良債権問題』など。



WEDGE Infinity 2013年09月05日(Thu)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/3133?page=1

軍を掌握する習近平
着任半年で2度目の人民解放軍人事に着手

 習近平体制がスタートして以降の中国を見回したとき、
 この国に起きた最も大きな変化が何か
といえば、それは間違いなく腐敗官僚に対する取締強化と贅沢禁止を呼び掛けた倹約令に収れんされてゆくことだろう。

 こうした変化は、主に共産党と国民との間で起きたものであり、
 共産党が国の統治にある種の危機感を抱いていることを投影したとも考えられた。

 一方、党内で権力の継承が起きた際に、必ず注目されてきた内部の安定という視点で見た習近平体制はどうだろうか。

■注目される習近平の権力のグリップ具合

 なかでも注目されるのは権力の掌握の程度であり、その中心的な話題には常に中国人民解放軍(以下、解放軍または軍)の存在があった。

 2013年7月31日、軍の最高意思決定機関である中国共産党中央軍事委員会(以下、中央軍委または軍委)が入る「八一大楼」で新たに上将に昇格する6人の軍幹部に対する昇格式が行われた。

 午前9時30分から行われた式の総責任者は軍委の許其亮副主席。国歌が演奏されるなか、軍委の范長龍副主席が命令書を読み上げた。
 命令書には6月29日付の習近平の署名があった。

 これは習近平体制がスタート――2012年11月に党中央総書記に就任した時点をスタートと考える――して2度目の新任上将の任命となる。

■半年で2回目の人事を断行した習近平

 党機関紙で政治を中心に取材するベテラン記者が語る。

 「政権スタートから半年余で2回も軍の人事を大きく変えるというのは、習近平主席の自信の表れなのかもしれません。 
 今年年初に出された贅沢禁止令は、軍に対する厳しい締め付けになりました。
 民間に貸し出されたりしていた軍ナンバーの回収を命じたり、450万元以上の高級車に軍ナンバーをつけることを禁じたりと、大胆にメスが入れられました」

「そのことによって軍との軋轢を指摘する声が高まっていたのです。
 少し落ち着いたら軍からの巻き返しがあるのではと考えられていたときだけに、軍に1つの鞭を加える観点からも大きな効果があった人事だと考えられています」

 「こうした人事は習主席が個人で行えるものではありません。
 軍歴や実績などを考慮して名簿を作成しなければ、それが大きな反発を招くことになるからです。
 当然、その下書きとなる人事案は制服の幹部たちの手によって作られるのですから、彼らが非常に協力的であったことがうかがえるのです」

■新たに昇格した解放軍の面々

 では、具体的にどんな人物が昇格したのかを見てみよう。

1.呉昌徳 総政治部副主任
1952年生まれ、江西省大余出身。陸軍第31集団軍政治部主任、総政治部宣伝部部長、成都軍区政治部主任などを歴任。2008年の四川大地震で活躍し、同年7月に中将に昇格。

2.王洪尭 総装備部政治委員
1951年に山東省済寧に生まれる。陸軍第54集団軍政治委員、瀋陽軍区政治部主任、瀋陽軍区副政治委員などを歴任。2009年に中将。2011年6月から総装備部政治委員。

3.孫思敬 軍事科学院政治委員
1951年に山東省青島に生まれる。第一軍医大学政治委員、解放軍総医院政治委員、総後勤部政治部主任、総後勤部副政治委員などを歴任。2007年7月より中将。

4.劉福連 北京軍区政治委員
1953年生まれ、安徽省来安出身。陸軍第27集団軍政治委員、北京衛戎区政治委員(部区大軍区職に相当)などを歴任。2008年7月に中将。

5.蔡英挺 南京軍区司令官
1954年に福建省泉州に生まれる。中央軍委副主席(張万年上将)秘書、陸軍第31集団軍軍長、南京軍区参謀長などを歴任。2009年に中将に昇任された後、2012年10月から現職。

6.徐粉林 広州軍区司令官
1953年に江蘇省金壇に生まれる。陸軍第47集団軍軍長、陸軍第21集団軍軍長、広州軍区参謀長などを歴任。2008年7月に中将。2009年12月から現職。

■政権移行時に、軍における一切のポストから退いた胡錦濤

こうして昇格人事を並べてみて分かることは何か。
 人事のポイントが、四総部(総参謀部、総政治部、総後勤部、総装備部)の人事だけでなく大軍区の人事にも関わっていることだと指摘するのは、党中央の関係者だ。

 「胡錦濤体制から習近平体制への移行時に見られた特徴として、軍における人事の断絶ということが挙げられます。
 胡錦濤体制がスタートしたときには、軍委主席のポストに江沢民が約2年間もの間居座り続けました。
 それに比べ胡錦濤は一切のポストから退いています。
 それだけに新政権(党)の軍に対するコントロールに不安の声があったのです。
 しかし、今回の人事はそうした声を退けるだけでなく、習近平が軍を強くグリップしていることを内外に示した形になったのではないでしょうか」

■ハイペースな軍の昇格人事と若返り

 今回、軍務にもかかわる党の関係者たちが注目しているのは、おおむね以下の2つの視点だという。

 「第1点は、軍委弁公庁の主任に秦生祥を就けることができたことです。
 これは胡錦濤色が軍から完全に消えたことを意味します。
 例えば、江沢民体制下では鄧小平時代の王瑞林がずっとこのポストで目を光らせ、胡錦濤時代には同じように賈廷安がそのポストを手放すことはありませんでした。
 つまり習は胡から白紙で権力を移譲されたのです。

 これに加えて第2点目は、秦の人事が出された2013年1月以降、習近平が副大軍区級以下の人事にも細かく手を付け、それを見事にやり遂げているという事実です。

 過去には鄧小平が17人の上将を任命、江沢民は79人、胡錦濤が45人となっていますが、習近平の約半年で7人の上将任命はかなりハイペースといえるでしょう。
 また今回の人事でさらなる若返りが実現しています。 
 最年少上将の記録を塗り替えた蔡英挺の抜擢はその象徴です。
 これで全31人の上将のうち、50年代以降に生まれた者が22人にまで増えたことも人事の特徴といえるでしょう」(前出の党中央関係者)

富坂 聰 (ジャーナリスト)




減速する成長、そして増強される軍備


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2013年8月29日木曜日

中国共産党が35年分の“大掃除”…党内ルールの失効宣言

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サーチナニュース  2013/08/29(木) 12:55
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2013&d=0829&f=politics_0829_008.shtml

中国共産党が35年分の“大掃除”…党内ルールの失効宣言
  中国共産党は28日までに、1978年から現在までにまでに制定した党内ルールのうち、300件の廃止と失効を決めた。
 古い時代に作られたルールがそのままにされていたので、現状にそぐわなかったり、ルールが互いに矛盾するなどの問題が出ていたという。
 中国新聞社が報じた。最も古いもので35年前のルールを“大掃除”したことになる。

  「中共中央(中国共産党中央委員会)の、一連の党内法規と規範性文献の廃止と失効宣言にかんする決定」
として、古いルールの整理を発表した。
 廃止や失効の対照になったのは、最も古いもので1978年、新しいものは2012年6月の制定で、計300件。
 現在も有効とされたものは467件で、42件は修正された。

  古いルールは現状に合わなかったり、互いに矛盾したりする問題が出ていた。
 ルールの整理は「党の科学的(合理的)レベルを高めるという、重要で深淵な意義を持つ」という。

①.中国共産党は今回の整理を「第1段階」として実施し、
②.続いて(1949年の)中華人民共和国成立から1978年までのルールの整理に早急に取り組む。
 64年前にさかのぼって、党内ルールの「合理化」が実施される
ことになる。

**********

◆解説◆

  中国共産党が自ら、党内規則について「現状に合わなかったり互いに矛盾する場合」が発生していたと認めたことになる。
 党におけるルール体系の整理は「当然のこと」ではあるが、改革の一環として評価できる。
 ただ、今まで個別の「現実には適用できないルール」の問題を、
★.「だれが、どのような基準で判断し、どのような手順で現実的な処理をしていたか」
については、明らかにされていない。

  中国では1990年代から「法治主義の確立」が強調されるようになった。
 新たな法の制定も相次ぎ、法体系はかなり充実するようになった。
 同分野で、多くの人が努力を続けてきたことは否定できない。
 しかし、
 法治主義の本質は、「法の存在」そのものと言うよりも、「ルールの感覚」ではないだろうか。

●.「存在するルールは守って当たり前」、
●.「ルールが現状にそぐうものか、常に考える」、
●.「互いに矛盾するルールは作らない、存在を許さない」
などの考え方だ。
 中国の“大元締め”である共産党が自ら「法治主義」を強調するようになった後も、きわめて長い時間にわたって「自らのおかしなルール体系」を許してきたということになる。

  中国では2013年になり、「人権を広く認めた自国の憲法を順守せよ」との「憲政要求」の声が高まった。
 人民日報は同要求を「外国勢力と結託した政治要求」との批判を続けている。
 「憲政要求」が「政治要求」であることは間違いないとしても、
 「ルールと現実の落差問題」そのものについての論理展開はみられない。

  ある程度の水準の「ルール感覚」があれば、是非はともかくとして、仮に“屁理屈”であったとしても「憲法の運用は現状で問題ない」とする論理の展開があるはずだが、そのような主張は極めて希薄だ。
 中国が法治主義についてまだ「発展途上」であることのあらわれと、理解せざるをえない。




減速する成長、そして増強される軍備


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激化する日中空母の見えざる戦い:「日中空母戦」の真相

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●27日、香港誌・亜洲週刊は「中日空母の暗戦、中国の生み出す戦法が日本軍の優勢に挑戦」と題した記事を掲載した。写真は中国の空母「遼寧」。

中国海軍 J-15が空母遼寧の発着艦に成功する瞬間


レコードチャイナ 配信日時:2013年8月29日 6時30分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=76067&type=0

水面下で激化する日中空母の見えざる戦い
=戦力増強で自信を深める中国―香港誌

 2013年8月27日、香港誌・亜洲週刊は
 「中日空母の暗戦、
 中国の生み出す戦法が日本軍の優勢に挑戦
と題した記事を掲載した。以下はその内容。

 日本の「いずも」が進水し、中国の「遼寧」が日米による列島線突破をうかがっている。
 日本メディアは、もしも両国が海上で衝突すれば、日本は海空での優位性を生かし、
 開戦から数時間以内に遼寧を撃沈する
と予測している。
 だが、解放軍も戦力の増強に努め、戦線を海と空の立体的空間にまで伸ばしつつある。

 優位にある日本は空母キラーと呼ばれるミサイル「東風-21D」や、ミサイル一斉発射によるイージス艦防衛ラインの突破という挑戦を受けることになる。
 中日空母の見えない戦いは、国際関係上の公然の秘密となっている。
 お互いを仮想敵とみなし、最悪の事態に備えた準備を進めている。

 中国軍事科学院の羅援(ルオ・ユエン)少将は
 「今日の解放軍の作戦は立体的な連合作戦である。
 わが国は海軍以外にも空軍、第二砲兵部隊を有し、勝利する自信がある」
と述べた。
 中日の空母戦は、第二次世界大戦の日米決戦のような光景にはならないだろう。日本が立ち向かうのは、中国の地対艦ミサイルや電子戦、無人機であり、戦線が拡大することで日本海軍は身動きが取れなくなる。

現代の海空戦争では空軍の力が大きくなっており、対空、対艦のいずれにおいても大きな脅威となっている。
 空軍の援護なしには艦船はただの的になってしまうからだ。
 第3世代戦闘機の数では、中国空軍と海軍航空部隊のJ-10、J-11、Su-27、Su-30、JH-7などは航空自衛隊のF-15、F-16、F-2を大きく上回る。
 しかも、対艦攻撃力では航空自衛隊の戦闘機は解放軍空軍に及ばない。

 元陸上自衛隊西部方面総監部幕僚長の福山隆氏は、中国空軍と弾道ミサイル、そして宇宙を利用した総合的戦力を検討すると、日本の自衛隊の戦力だけでは対抗することが難しいと述べている。
 そのため、中日戦争での日本の希望は米国の全面的な介入に託されている。
 在日米軍の戦闘機や空母の加勢がなければ、日本は釣魚島(尖閣諸島)上空の制空権を握り、中国の大型戦艦に脅威を与えることはできないのである。


 具体的な論理があるわけでもない記事である。
 そうありたいという願望の記事のようだ。
 中国戦闘機の戦闘能力はスペックだけで、まだ実践化されていない。

『 
レコードチャイナ 配信日時:2013年8月29日 9時40分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=76115&type=0

中国は国産空母を建造中なのか?議論続くなか日本メディアが“デマ否定”―中国紙
 
 2013年8月28日、環球時報は記事
 「中国は国産空母を建造中なのか?議論続くなか日本メディアが“デマ否定”」
を掲載した。

 ウクライナから購入した空母ワリャーグを改装し、中国初の空母・遼寧号が誕生した。
 続いての注目は中国がいつ国産空母を建造するかだ。
 英ジェーン 海軍年鑑、米フォーリン・ポリシーはすでに建造が始まっているとの見解を示している。
 上海市の長興島造船厰で建造中の艦艇こそ中国初の国産空母だという。

 ところが日本メディアはカナダの中国軍事メディア・漢和情報センターを引用し、問題の艦艇は空母ではないと報じた。
 空母のように見える全通甲板を採用しているが、実際にはヘリコプターと大型ホバークラフトを搭載する揚陸艦だという。 

この新型揚陸艦は満載排水量3万5000トンと大型で、従来の071型揚陸艦(2万トン級)をはるかに上回る大きさを誇る。



サーチナニュース 2013/08/29(木) 09:18
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2013&d=0829&f=politics_0829_002.shtml

中国初の国産空母…建造がいつ始まるのかに注目集まる

  旧ソ連の航空母艦「ワリャーグ」を改装した中国初の空母「遼寧艦」が正式に就役してからというもの、中国初の国産空母の建造がいつ始まるのかは海外メディアが最も注目する話題となっている。
 英軍事専門誌「ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー」と米誌「フォーリン・ポリシー」電子版は、最新のスクープ写真から、上海・江南造船集団の長興島造船所で建造中の艦体の骨組みは中国初の国産空母の一部である可能性が高いと伝えた。
 中国網日本語版(チャイナネット)が報じた。

  日本の外交時事誌「The Diplomat」ウェブサイトは26日、カナダ軍事専門誌「漢和ディフェンスレビュー」を発行する「漢和インフォメーションセンター」の報告書を引用し、
 「長興島造船所で建造されている艦艇は国産空母ではなく、最新型の強襲揚陸艦である可能性が高い」
と伝えた。

  「The Diplomat」によると、中国軍事フォーラムが8月、長興島造船所で造船が行われている写真を初めて公開したことで、「中国はすでに国産空母の建造を開始している」と多くのアナリストが指摘した。

  米誌「フォーリン・ポリシー」電子版は、公開された写真を細かく分析し、艦体の上部が底部よりも大幅に大きいため、空母のアングルド・デッキの特徴と一致すること、上部にある巨大な割れ目が空母の格納庫の造りと極めて類似していること、別の巨大な割れ目は航空機昇降リフトの位置と非常に近いことなどを指摘した。

  さらに船体の上部にV時型の凹みがあることから、カタパルトが設置される可能性が高いとして、中国初の国産空母は「遼寧艦」とは違い、戦闘機の離陸にカタパルトを採用するのではないかとの見方を示した。

  一方、「漢和ディフェンスレビュー」は、米衛星画像大手デジタルグローブ(DigitalGlobe)が撮影した写真から、長興島造船所で建造中の艦艇は、周りの造船ドックで建造している商用船とは明らかに違うと指摘し、長興島造船所はかつて、
 「中国初となる国産の大型海上戦闘艦艇を建造する決意と能力がある」
とのスローガンを掲げていたと伝えた。



WEDGE Infinity 2013年09月06日(Fri) 
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/3134
小原凡司 (東京財団研究員・元駐中国防衛駐在官)

「日中空母戦」の真相

 8月15日夜、筆者は北京のホテルでテレビに釘付けになっていた。
 CCTV新聞(中国中央電子台ニュース・チャンネル)は、「8.15日本投降日」特集を流し続けていた。
 その内容を見ていて、その日、意見交換した中国側の言葉が蘇った。
 その言葉は「これからは空母戦だ」である。

 当該特集が16日以降も報道され続けたのは、15日に武道館で執り行われた戦没者追悼式において、安倍首相が、アジア諸国に対する加害責任についての反省も哀悼の意も述べなかったことに対する反発からだ。
 報道の中で、国会議員の靖国神社参拝、麻生副総理の「ナチス」発言、橋下大阪市長の慰安婦関連発言などは、全て安倍政権の日本軍国主義化の現れとされた。
 しかし、ここまでは想定内だった。

■「いずも」は日本軍国主義化の証拠

 ニュースに釘付けになったのは、ここに、海上自衛隊の護衛艦「いずも」の進水が含まれていたからだ。
 これは予期していなかった。
 「いずも」は、平成22年(2010年)度予算で建造が認められたヘリコプター搭載護衛艦という意味で22DDHとも呼ばれ、基準排水量19500トンである。
 既に就役している「ひゅうが」級の拡大改良型で、全通甲板を有し、ヘリコプター14機を搭載出来ることから「ヘリ空母」だとも言われる。


●「いずも」の進水式 (写真:ロイター/アフロ)

 この「いずも」が8月6日に進水した。
 CCTVは、「いずも」という名称と進水した時期を軍国主義化の証拠として挙げたのだ。
 「いずも」という名がなぜ問題視されるのかは、日中戦争の発端となった所謂「上海事変」の際に派遣された日本帝国海軍第三艦隊の編成を見ればわかる。
 このときの旗艦が「出雲」なのだ。
 中国にすれば、侵略に来た日本艦隊の旗艦の名を「空母」に付けたということになる。
 安倍首相が、「侵略」を否定するかのような発言をし、アジアの国々に反省と哀悼の意を示さなかった、2013年の夏にこの名が出現したのだ。

 しかし、CCTVが言う「時期」は、これだけではない。
 8月6日という日を問題にしたのだ。
 8月6日は、広島に原爆が投下された日である。
 原爆投下は中国には関係がないと思えるが、
 「原爆投下は日本降伏の直接的要因であり、この日に進水させたのは、この恨みを晴らす意志の表れ」
だと解説されていた。

 そもそも海上自衛隊はそのようなことを考えたことがなかっただけに、筆者も驚いたのだ。
 いや、実は、海上自衛隊は「いずも」進水の日を意識したと言う。
 8月6日を避けたかったのだ。
 船乗りは迷信深い。
 縁起の悪いことが大嫌いだ。
 8月6日は、原爆投下によって広島が地獄絵図と化した日である。
 日本人にとって、この日は原爆によって亡くなった多くの方々の冥福を祈る日だ。
 このような日に、新しい艦を進水させたいと思う海上自衛官はいない。

 では、なぜこの日になったのか?
  それは「いずも」が大き過ぎたからに他ならない。
 大潮の日でなければ「いずも」は進水出来なかったのだ
 6日を逃すと次の大潮まで待たねばならず、以後の艤装に支障を来たす。
 結局6日とされたが、午前中は、広島市原爆死没者慰霊式並びに平和記念式が執り行われており、祝賀式典など出来ない。
 午後にしてもやはり配慮したのだろう。
 新聞では「華々しく」と報じられたが、実際には控え目な式典だった。

■縁起が良い「いずも」という名称

 一方の「いずも」という名称はどうか?
 命名基準は「海上自衛隊の使用する船舶の区分等及び名称等を付与する標準を定める訓令」に定められている。
 護衛艦の名称は「天象・気象、山岳、河川、地方(都市名は使用しない)の名」の中から付与される。
 進水時には名前が必要なので、通常は、進水式の数週間前に海上自衛隊が防衛大臣に決裁を仰ぐ。
 この時、複数の候補とさらに予備の名称を準備しておく。
 大臣が渋ったら、「じゃ、これで」とすかさず別の名前を出す訳だ。
 これに遡って、海上自衛隊内での検討があるので、1カ月以上前には名前の候補が挙がっていることになる。

 このとき、やはり船乗りの迷信深さが顔を出す。
 気象、地名等には限りがあり、帝国海軍時に使用された名称も使用されるが、その際には、当該艦艇の履歴を調べる。
 不幸な経歴を持つ艦名を排除するためだ。
 誰も縁起の悪い艦に乗りたくない。
 この点、「出雲」は、英国から購入して日露戦争に参加、第二次大戦終戦間際まで現役として生き残ったのだから、申し分ない。
 さらに、今年の「出雲」には特別な意味がある。
 出雲大社で60年振りの「平成の大遷宮」が執り行われたことから、「神のご加護」を得たいという想いがあったと想像できる。

■空母「遼寧」 完成までの中国の苦労

 ところで、「空母戦」と言うからには、中国の空母にも触れなければ片手落ちだろう。
 中国は、8月15日に合わせて空母「遼寧」を出港させて発着艦訓練を実施し、これも大々的に報じた。
 空母のプレゼンスは格段に大きい。
 しかし、空母の運用は容易ではない上、建造自体にも技術的困難が伴う。

 1998年、マカオの中国系民間会社が、ウクライナから空母「ワリヤーグ」を購入した。
 このとき、蒸気タービン・エンジンは撤去されず、自走できる可能性を残している。
 この艦は2005年4月に大連造船所の乾ドックに搬入され、海軍の塗装が施された。ここから中国の奮闘が始まる。

★.修復に当たって二つの難題が中国を苦しめた。

 動力システム改造の責任者であった黄東煜は、
①.「最も困難だったのは動力システムの回復であった」
と述べている。
 実は、中国の意図に気付いた米国がウクライナに圧力をかけたため、エンジンの最も重要な部品でさえ取り外され、残った装備も表記を消されていたと言う。
 「遼寧」機関長である楼富強は、
 「蒸気ボイラー内の圧力が高過ぎて危険なため、必要な出力が得られなかった。
 設計された圧力の値はわからなかった」
と述べている。
 彼らは、設計情報もないまま、試行錯誤で蒸気タービンを修復したということだ。
 これでは、本来の出力を出せないどころか、欠陥を抱えている可能性もある。

②.もう一つの難題は、艦載機関連システムであった。
 システム主任設計師の王治国は、艦載機運用システムに関する作業を担当したが、80年かかる作業を10年で成し遂げたと言う。
 誇張はあるにしても、これで問題が解決できたのだろうか?

 彼は、
 「航空機に関する問題が一万以上存在した」
と述べている。
 それぞれの設備の取付け位置がどこなのか、どのように設置するのか、設計図もなしに、ボルトの跡や配管の穴などを見ながら作業を進めたのだ。
 これでは、巨大なパズルを解くようなものだ。
 果たして正確に解けたのだろうか?

 更に、艦載機の本格運用にもまだまだ時間がかかりそうだ。
 公開された映像を見る限り、J-15が極めてスムーズに着艦している。
 しかし、これはおかしいのだ。
 その様子は陸上飛行場への着陸のようで、これでは動揺を伴う外洋で着艦することは難しい。
 着艦と着陸は異なるのだ。
 中国海軍は艦載航空機の運用をまだ体得していないように見える。

■「空母戦」は「見せっこ」

 問題を多く抱える「遼寧」だが、そのこと自体は重要ではないのかもしれない。
 空母は日本との戦争に用いられないからだ。
 「遼寧」が練習艦だからというだけではない。
 中国が更に空母を建造しても、それは、却って日米同盟と衝突する気がないことを示すものだ。

 中国は空母運用を追及しても米海軍に追いつけない。
 日米同盟と戦争を考えるなら、潜水艦を増強すべきなのだ。
 空母の建造及び運用には莫大な費用がかかる。
 中国とて空母と潜水艦を同時に追求するのは困難だ。
 既に、中国の国防費も無限ではないことがわかっている。
 中国空軍内に不満があるが、海軍に予算が多く配分されることがその一因だろう。
 中央軍事委員会副主席への空軍の抜擢も、空軍を抑えるためだとも言われる。

 「空母戦」は決して空母戦闘群の衝突を意味する訳ではない。
 言うならば「見せっこ」だ。
 しかし、空母は国家の影響力を世界中に投射出来る兵力である。
 日中間で実際の戦闘に使用されなくとも、その保有には目的があるのだ。

 中国海軍が「遼寧」改造を通じて学んだことは、国産空母建造に大いに役立つ。
 中国海軍は、通常動力型空母の次に、原子力空母の自主建造を目標にしているという報道もある。
 しかし、中国の空母建造には、多くの難問が立ちはだかるだろう。

 一方の「いずも」は、これまでの汎用護衛艦とは異なる艦艇である。
 「ひゅうが」から始まった運用思想の変化は、明確になりつつある。
 しかし、新しい艦艇運用を自らのものとする努力は始まったばかりだ。

 日中双方とも、真の「空母戦」は国内に在るのかも知れない。


サーチナニュース  2013/09/07(土) 09:57
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2013&d=0907&f=politics_0907_002.shtml

艦載機を搭載したわが空母は日本の「いずも」を容易に撃退=中国

  中国網日本語版(チャイナネット)によれば、中国人コラムニストの陳光文氏はこのほど、
 「戦闘機J-15を搭載した空母・遼寧艦は、海上自衛隊の護衛艦いずもを容易に撃退できる」
と主張した。
 以下は同記事より。

**********

  中国初の空母「遼寧艦」の初代艦載機にあたるJ-15(殲-15)はすでに量産型が生産開始となった。
 これはJ-15がすでに海上作戦能力を有し、実戦ニーズを満たし、導入が正式に決ったことを意味している。
 同時に中国の空母が成熟した艦載機を搭載することになると考えて良いだろう。

  空母のもっとも重要な戦闘力である艦載機J-15は、中国の遠洋海軍の夢を叶える鍵だ。
 現在、J-15は海外メディアの予測よりはるかに早い段階で量産に成功した。
 技術の未熟な艦載機は、危険要素が多く、訓練において空母の甲板に立つ軍人や艦載機に予測不可能な危険を与えかねない。

  J-15の量産は、中国の艦載機訓練の安全性が確保されたことを証明するもので、艦載機、空母、パイロットの三者にとって大きな意義を持つ。
 十数回にわたる厳しい試験を経て服役した空母と量産型の艦載機、経験豊富なパイロットが今揃った。
 これによって空母の訓練の効率は大幅に向上し、中国の空軍は夢に大きく近づいたといえる。

  日本政府は平和憲法の改正を企て、第二次世界大戦中の艦艇を復活させ、東シナ海と尖閣諸島(中国名:釣魚島)で強硬姿勢を見せるなど右傾化を呈しており、日中間の緊張もエスカレートするばかりである。
 今後、空母「遼寧艦」がJ-15を艦載し動き出せば、日本の護衛艦「いずも」は相手にはならなくなる。

  J-15の訓練が成熟し、「遼寧艦」との調整を進め、艦載機のあらゆる訓練任務を完遂した暁(あかつき)には、中国初の空母「遼寧艦」はJ-15を従え出航し、遠洋で広範囲な訓練を進めることになるだろう。
 中国海軍は真の意味で翼を広げ、グローバル化へと足並みを揃え、いわゆる列島線封鎖は歴史に葬り去られることになるだろう。



レコードチャイナ 配信日時:2013年9月7日 10時20分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=76444&type=0

中国初の空母・遼寧は世界で最も安価な空母―露メディア

 2013年9月5日、人民日報によると、ロシアの軍事週刊誌・軍工信使はこのほど、中国初の空母・遼寧は、その前身はウクライナから2000万ドルで購入した未完成艦・ワリャーグであり、世界で最も安価な空母だと伝えた。

 ワリャーグの改装は主に中国の独自に開発した技術・設備が使われており、
①.殲15(J-15)戦闘機40機と、
②.ロシア製Ka-28を基礎に開発した各種ヘリコプター20機
合計60機が搭載可能となっている。

 しかし、米国など各国の専門家は、空母・遼寧の影響力はさほど大きくないと分析している。
 まず、殲15戦闘機は搭載されている電子システムや兵装が米国のF/A-18に大きく劣っている上、レーダー誘導装置や各種戦闘・偵察装備に対応した戦闘機・ヘリコプターを配備できておらず、その戦闘力を十分発揮できない。
 また、遼寧そのものも自衛手段がほぼ皆無で、低空を飛行中の目標に対する攻撃能力しかないと指摘されている。

 海外専門家の批評に対し、中国を代表する軍事専門家・張召忠(ジャン・ジャオジョン)氏は、
 遼寧はあくまで試験的な存在で、研究開発を目的に運用しているにすぎない
とし、同艦から得た経験を今後の空母開発・建造に生かすことになると話す。
 そのため、
 遼寧の自衛能力うんぬんという話題には何ら意味がない
と指摘している。




減速する成長、そして増強される軍備

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2013年8月28日水曜日

中国の借入れ増加、成長の足かせに:中国の「失われた10年」はくるのか?



●左:中国企業と家計の債務の対GDP比、中央:返済額の対GDP比、右:中国GDPの対前年比


ウオールストリートジャーナル     2013年 8月 27日 13:09 JST
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887324361104579037881646010104.html

中国企業・家計の借入れ増加、成長の足かせに
 By    TOM ORLIK

 中国の野放図な融資の伸びが経済成長鈍化と金融市場の緊張を引き起こす恐れが高まっている。
 古い産業部門ほど、こうした問題を如実に示している分野はない。
 この部門では国営の鉄鋼会社やセメント企業が、生産能力の過剰にもかかわらず借り入れを継続し、業容を拡大している。
 中国の格付け会社の大公国際によれば、債務が高水準で利益が少ないため、国営鉄鋼大手の首鋼集団など一部企業は新しい融資を使って古い債務の返済に充てている。
 首鋼集団はコメントを避けた。

 4年半にわたる借り入れの猛烈な拡大の結果、中国の債務負担が全国的に大幅に増加した。
 国際決済銀行(BIS)によると、企業と世帯による借入残高は2012年末、国内総生産(GDP)比で170%に達し、08年の117%から急増した。
 12年末の米国の157%を上回る比率だ。

 金利を6.9%(6月の平均)と想定し、向こう10年間に債務を返済するなら、企業と世帯の債務の元利支払い合計は、中国のGDPの約3分の1に相当する。
 これは金融危機以前の07年の米国の比率21%を上回っている。
 BISによれば、米国では12年末もおおむね変化していないという。

 危機が差し迫っていることを示す兆候はほとんどない。
 中国の銀行の不良債権比率は低い。
 貯蓄率が高くて、銀行預金が積み上がり続けている。
 資本勘定が厳格に管理されているため、資金が他のところに流出するのは難しい。
 しかも、中国当局が問題を管理する手段は幾つもある。
 多くのケースでは、貸し手と借り手がいずれも国営企業だ。中央政府の債務は少ない。

 しかし危機に陥らなくても、返済コストの上昇はなお、経済成長を圧迫する恐れがある。
 成長率は既に過去20年間で最低に落ち込もうとしている。
 借入資金が債務返済に充当されれば、企業はそれほど投資できないし、地方政府は重要な公共サービス向けの支出を制限しなければならなくなるかもしれない。
 高債務の企業や政府はデフォルト(債務不履行)に陥る公算が大きくなる。
 経済成長が鈍化し続ければなおさらだ。

 これに、過度に貸し出している金融部門の脆弱性が加わる。
 不良債権が増えれば金融部門は貸し出しを抑えなければならなくなるかもしれない。
 銀行融資残高は2008年末以降、既に倍増している。
 インフレ加速への対応や規制当局による銀行部門の規制緩和に伴い、金利が上昇に転じる可能性があるが、それがさらに圧力になるだろう。
 既存の債務水準からみれば、貸出金利が1%ポイント上昇すれば、返済の年間負担がさらにGDPのほぼ2%分増えるだろう。

 主要なフォールトライン(断層)は、中国の地方政府の返済能力だ。
 08年の金融危機以降、中国全土の都市は道路、鉄道、空港への支出急増に充当するため借り入れを急増させた。
 これらの事業の多くは短期的にほとんど利益を生まないから、返済は至難の業になり、一部の地方政府は既存融資返済のためさらに借り入れを増やそうとしている。

 中国の格付け会社である中国誠信によると、12年末時点で、中国南西部の都市・昆明の金融公社の一つ、昆明トランスポート投資は379億人民元の債務を抱えている。
 同市の税収全体を上回る債務だ。
 誠信は格付けリポートで、昆明トランスポート投資の利益はせいぜい金利返済をカバーできるほどだから、「この債務負担は重い」と指摘している。
 昆明トランスポート投資はコメントを避けた。

 過去最大級の債務を積み上げているのは、首鋼のような鉄鋼大手やアルミ精錬会社、セメントメーカーといった重工業企業だ。
 金融情報会社ファクトセットのデータによれば、重工業企業の純債務は2012年には純利益の30倍相当に達し、11年当時の10倍相当を大幅に上回った。
 債務が増え続け、利益が急減した結果だ。
 アルセロール・ミタルなど海外のライバルの債務・利益比率はこれを大幅に下回っているし、安定している。

 中国はまた、借入金の増加に比べ経済が成長していないようだ。
 今年上半期の信用は前年比で約20%増に達したのに対し、GDPはわずか7.6%増だった。
 その理由として一つ考えられるのは、新しい債務が生産的な投資を生み出すのではなく、既存融資の利子返済に充当されていることだ。

 中国の中央銀行である人民銀行は、ほとんど意に介していないようにみえる。
 同行は、信用が経済に波及し、景気を押し上げるにはしばらく時間がかかると説明している。
 これに対し、民間アナリストはそれほど強気ではない。
 ソシエテ・ジェネラルの中国担当エコノミスト、ウェイ・ヤオ氏は
 「これは債務のわなで、企業は融資返済のためますます借り入れを増やさねばならなくなるだろう」
と述べた。
 同氏の試算によれば、昨年末の中国の債務返済コストはGDPの約38%に相当するという。

 中国の政府と企業は、債務返済のため、売却できる資産を持っている。
 昆明トランスポート投資も首鋼も、債務以上に資産がある。
 しかしアナリストたちは、こうした資産面の安全対策は現実のものというより幻想かもしれないと言う。
 危機の場合には、資産は額面通りに売却しにくくなるからだ。

 重債務はまた、借金での資金調達によるインフラ支出型から消費型に経済を転換する中国の努力にも重しになるだろう。



ウオールストリートジャーナル     2013年 8月 27日 16:59 JST
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887324361104579038211528571856.html

中国の経済改革案、骨抜き必至
By RICHARD SILK, YAJUN ZHANG AND TOM ORLIK


●労働者を都市へ流入させるための政策が中国の経済改革案の中心になっている。写真は新疆自治区に帰る労働者

 【北京】
 中国政府が7月半ばに打ち出した銀行部門の規制緩和は、同国の経済モデルの移行計画にとって重要な一歩だった。
 しかし、それは中国の新指導部にとっては容易に踏み出せる最後の一歩だったかもしれない。
 今後の経済改革計画は共産党内で激しい反発に遭いそうだ。

 習近平国家主席と李克強首相は、国家の役割をもっと制限することを提唱しており、政府は投資重視型から内需重視型の経済への移行のため経済を調整する方針を示している。

 中国政府は7月19日、銀行部門に一段と市場の力を注入するため、銀行の貸出金利の下限規制を撤廃した。
 だがそれ以外の改革案は厳しく見直されている。
 このため年末までに行われる予定の共産党中央委員会第3回総会(3中総会)では、改革案は骨抜きにされたり棚上げとなる可能性が大きい。
 3中総会は、構造改革案についての合意を目指すことになっている。

 米ブルッキングス研究所のチェン・リー氏によると、市場志向の改革派として知られる劉鶴党財経指導小組弁公室副主任を中心とする作業グループが、3中総会に向けて具体的な経済改革案の策定を進めている。

 リー氏は「劉氏は15―20年間、財政を扱ってきた能力のある経済テクノクラートだ」と述べ、「信念を曲げない」と評価する。
 問題は、劉氏がそうした能力を発揮して、経済改革に対する強硬な反対論に打ち勝つことができるかどうかだ。

 劉氏のグループは現在、一連の経済改革案を徹底的に議論しており、その結論を秋に提示する見込み。
 経済学者の益平氏によれば、検討されている改革案は、数十年にわたって続いてきた開発型の経済計画に別れを告げるものだ。
 改革案には、土地所有や都市居住に関する規制撤廃や、財政難の地方政府が収入増となるような税制改正、エネルギー価格の規制緩和などが盛り込まれる見通し。
 銀行預金の金利自由化や、資金の国内外の移転規制の緩和などの金融改革も、検討課題の上位の方に置かれているという。

 しかし、経済改革案の多くは、さまざまな政府機関の利益に反する。
 国有銀行は、預金金利を競争的なものにせざるをえなくなる。
 地方政府は、増加する都市住民のための社会福祉支出を増額する必要が出てくるが、増税がその財源を賄えるかどうか明らかでない。

 北京大学の姚洋教授(経済学)は、
 「人々は財政改革に多くの期待を持っているが、実質的な進展があるとは思えない。
 中央と地方の政府の利害を均衡させるのは難しい」
と話す。

 劉氏のグループに近い研究者によれば、李首相が推進している成長加速と民間消費拡大のための都市への移住促進が経済改革案の中心に置かれている。
 だが、各省庁がすでにこの都市化計画を骨抜きにしたという。
 同研究者は、中国ではほとんどの計画案はコンセンサス方式をとるため、「異論の多い部分は削除されてしまう」と語った。



レコードチャイナ 配信日時:2013年9月6日 8時20分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=76395&type=0

日本の「失われた10年」、教訓学び取る中国―中国メディア


●4日、現在の中国経済は1980年代の日本と3つの共通点があるとされ、中国は日本の「失われた10年」から教訓を学び取る必要があると報じられている。

 2013年9月4日、現在の中国経済は1980年代の日本と3つの共通点があるとされ、中国は日本の「失われた10年」から教訓を学び取る必要があると報じられている。
 ロイター通信掲載のコラムを中国・財経網が報じた。

 現在、中国には
①.債務水準の上昇、
②.輸出競争力の低下、
③.高齢化
という3つの特徴が現れている。
 債務水準は1980年代の日本と同程度で、平価切り上げと輸出競争力の低下という点でも中国は25年前の日本と極めて酷似した状況にあるという。

 高齢化社会も経済成長を阻害する要因となっている。
 1989年の日本は生産年齢人口に占める高齢者の割合が17%だったが、20年後の2009年にはこの割合が倍増している。
 現在の中国は同12%弱にとどまっているものの、一人っ子政策が高齢化を急加速させるだろう。

 日本経済を圧迫したのは不動産ブームだった。
 金融機関の経営の失敗、不良債権処理を先送りしたことが問題を大きくしたが、ここでも中国は似たような状況にある。
 中国国家会計検査署の予測では、国内の各地方政府による
 借入規模は総額2兆4000億元~2兆9000億元(約39兆1000億~約47兆2500億円)
に上るとされ、価格を上げ続ける土地を抵当にしている。
 政府は投機目的の不動産取引に対する引き締めを強める一方で、バブル崩壊や経済への影響に注意を払う必要に迫られている。

 ただし、中国には日本と異なる有利な点もある。
 1980年代にはほぼ都市化を完了させていた日本に比べ、中国は現在も発展の過程にあることのほか、労働生産性が徐々に上昇していること、
 国内金利と国際資本の流動性を制御している点などだ。
 一方、国民の平均収入に見る実質購買力は、現在の中国でも1990年当時の日本の3分の1でしかないなど不利な点も多い。

 日本は「失われた10年」を経ても繁栄を保ち続けていられたが、
 中国が仮に「失われた10年」を経験することになれば国民に多大な苦痛を強いることになるばかりか、
 世界各国にも大きな悪影響を与えることになると、記事は指摘している。




減速する成長、そして増強される軍備


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日本の巨額債務は世界の同情を得るための芝居:中国風の解釈とは?

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 ●27日、財務省が今月初めに発表したデータによると、今年6月末現在、国債、借入金、政府短期証券をあわせた「国の借金」の残高が1008兆6281億円に達し、初めて1000兆円の大台を突破した。資料写真。


レコードチャイナ 配信日時:2013年8月28日 2時53分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=76055&type=0

日本の巨額債務は世界の同情を得るための芝居―中国メディア

 2013年8月27日、財務省が今月初めに発表したデータによると、今年6月末現在、国債、借入金、政府短期証券をあわせた
 「国の借金」の残高が1008兆6281億円
に達し、初めて1000兆円の大台を突破した。
 この巨額の
 「政府債務の国内総生産(GDP)に対する比率は247%
で、日本は世界一の比率を守り続けている。
 同省の推計によると、今年度末の債務残高は1107兆円に達する見込みだ。
 日本紙によると、債務を人口で割れば、国民1人あたり792万円の借金を背負っていることになる。
 世界3位の経済体である日本がかかえる巨額の負債は、金融危機を引き起こすだろうか。
 金融危機の懸念はないだろうか。
 はたまた別の懸念が存在するだろうか。環球時報が伝えた。

▽アベノミクスが巨額債務を後押し

 日本の政府債務は1981年に100兆円を超え、2000年に500兆円を突破し、2013年は1000兆円を突破し、今後も増加する見込みだ。
 ある日本メディアの分析によると、今年初め、安倍晋三氏が再び首相の座に着くと、経済政策「アベノミクス」を打ち出し、機動的な財政政策として、借金をして景気回復を図ろうとした。
 こうして政府の借金が増え、3月末の991兆円から現在の1008兆円に増加した。
 内訳は国債が830兆円、銀行からの借入金が55兆円、政府短期証券が123兆円だ。
 東日本大震災の被災地の再建にも資金が必要で、政府は引き続き国債を追加発行し、再建のための「復興国債」として11兆1140億円を集めた。
 巨額の債務をもたらして重要な原因はもう一つある。
 それは高齢化による社会保障費用の増大だ。
 現在、日本は65歳以上の高齢人口が総人口の20%に当たる2560万人に上り、医療や介護などの社会保障費用は29兆円で90年の2倍になり、財政支出全体の31%を占めている。

 あるメディアの分析によると、日本が赤字財政を実施するようになってから、急速な経済成長による財政への圧力はまだみられない。
 折り返し地点は90年代初めで、バブル経済が崩壊してからの約20年間、日本経済は低迷から脱出することができず、税収は92年の60兆円から12年は42兆円に減少した一方で、支出は69兆円から100兆円に増加した。
 09年以降は4年連続で毎年40兆円の国債を発行しており、国債と税収でほぼ半々となっている。

▽ギリシャのような危機は訪れない

 長期にわたり、日本の世論では国債に対し楽観的な味方が主流だった。
 経済学者の片岡剛士氏によると、政府が債務を引き受けることにはさまざまな利点があり、資金を放出することによって円高抑制の効果を上げることができるという。
 だが業界関係者の中には、現在の高く積み上がった債務は若い世代が将来こつこつと返済することになり、日本は人口減少傾向にあるため、このままいけば日本経済はどこかで破綻すると懸念する人もいる。
 12年には政府債務がGDPの237%に増加し、主要8カ国(G8)で最高だったのみならず、ギリシャの198%、イタリアの126%も上回った。
 日本にアジア版の「欧州債務危機」が突如発生することはないだろうか。

 日本大学の亀谷祥治教授(金融学)は取材に答える中で、理論的には確かに債務危機が発生する可能性があり、日本は経済成長と健全な財政体制という2つの選択肢に直面している。
 だがギリシャのような債務危機が発生する可能性は大きくない。
 日本と欧州諸国とでは債務の構造が異なるからだと述べた。
 日本国債の保有者は日本の大手銀行で、売却さえしなければ、毎年1%の利回りが見込める。
 現在の銀行預金の金利はわずか0.1%で、最近では国債を買う方が株より儲かり、銀行の財務状況の改善につながる。
 一方、欧州諸国の国債は海外企業による投資が多く、これらの国債は格付けが低いため、利回りが高めに設定されている。
 投資家が何かちょっとでもあればすぐさま国債を投げ売りするため、欧州国債には暴落の可能性がつきまとう。

 それでもなお、日本の巨額債務に懸念を表する専門家もいる。
 中国社会科学院(社会科学アカデミー)日本研究所の馮昭奎(フォン・ジャオクイ)研究員によると、日本政府は現在の巨額債務に加えて、軍事費を増やそうとしており、財政的に無理がある。
 こうした情況が続けば、大きな影響があり、金利が上昇することになる。
 政府が毎年、国債の元金償還と利子支払いで支出する金額の国家予算に占める割合が年々上昇すれば、日本が動かせる予算はますます減少し、国の財政がますます硬直化しやすくなり、社会保障費用のための支出がますます保障されなくなっていく。

▽債務イコール資金不足ではない

 ある専門家によると、一つの国の経済が安定しているかどうかを検討するには、総合的な考察が必要になる。
 たとえばG8の債務の対GDP比をみると、日本が最も高く、ドイツが最も低い87%で、米国は113%だ。
 失業率をみると、日本は3.9%とG8の中で最も低く、ドイツは5.8%、米国は約8%だが、いずれも改善されつつあり、経済運営が安定に向かっていることがわかる。
 よって、赤字の水準だけで各国の経済をはかることは難しいとわかる。
 馮研究員によると、日本が背負うのは対内債務で対外債務ではなく、対内債務は国の破産には発展しないものだ。
 この点がギリシャなどの国と決定的に違う点だ。
 日本国債は米国国債のAAAより低いAAの格付けだが、日本の民間では信頼が厚く、政府の保障があって確実とみなされている。

 また、日本国債は元金償還と利子支払いが可能な利益の出るプロジェクトであり、財政の負担ではない。
 中国商務部研究院の唐淳風(タン・チュンフォン)氏(日本問題)によると、日本国債(で調達した資金)はごく少数部分が災害復興に充てられ、政府が肩代わりするほかは、ほとんどの部分が利益の見込める公共事業に使用される。
 高速道路、空港、新幹線の建設や改修、大型科学技術開発、資源開発、地域開発の実施などだ。
 こうした角度からみると、国債の90%以上は日本の財政負担でないばかりか、国の利益の源泉であるといえるのだ。
 各種財団の中には、政府の国債を専門的に取り扱い、運用して巨額の利益を得ているところが多い。

 唐氏によると、巨額の国債をさかんに吹聴する本当の狙いは2つあるという。
①.1つは、国民をだまし、苦肉の策を弄して消費税を引き上げ、医療保険や失業保険やその他の保険での国の負担を減らそうとすることだ。
②.もう1つは、金融危機発生以来、円高傾向が顕著で日本企業と日本製品の国際競争力が低下していることから、自国製品の輸出競争力を高めるため、「『巨額債務に苦しむ日本』というお涙頂戴の芝居」をうち出して、国際社会の理解と同情を得ようとすることだ。

(提供/人民網日本語版・翻訳/KS・編集/武藤)




減速する成長、そして増強される軍備


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2013年8月27日火曜日

尖閣諸島問題での中国の「解決策」の読み方:パフォーマンスと本格的持久戦

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●26日、華字紙・中文導報の楊文凱編集長は「中日対立の長期化:企業はどこへ進むのか?」と題した記事を中国のブログサイトに掲載した。写真は北京の日本車に貼られた尖閣防衛ステッカー。


JB Press 2013.08.26(月)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/38529

国防部長の強硬な発言は強がりなのか?
尖閣諸島問題めぐる中国の「解決策」の読み方

 中国の常万全国防部長が8月16日から20日にかけ訪米した。
 2013年5月の梁光烈に続き、中国の国防部長が2年連続で訪米したことになる。 
 ただし、2013年3月に就任した常万全国防部長と、2月に就任したヘーゲル米国防長官とは初めての顔合わせであった。

 米中間では2013年4月に米軍制服組トップのデンプシー統合参謀本部議長が訪中、6月に習近平主席が訪米し米中首脳会談が開かれ、7月には米中戦略・経済対話がワシントンで開催されるなど、高いレベルの接触が続いたこともあり、今回の常万全訪米の注目度は高くはなかった。

 8月19日に行われた常万全国防部長とヘーゲル国防長官との会談も、来年実施されるリムパック演習に中国海軍が初参加することが確認された程度で、目立った成果はなかったと言ってよかろう。
 そうしたなかで注目されたのが、会談後の記者会見での常万全の発言だった。

 常万全は、アジア太平洋の領土をめぐる争議に触れ、
 「いかなる者も中国側が核心的利益を取引に使うなどと幻想すべきではない。
 我々の領土主権と海洋権益を守る決心と意志を過小評価すべきではない
と述べ、中国の領土主権問題での強硬姿勢をアピールしてみせた。

 しかし、この発言はただの強硬姿勢の顕示だけではなく、中国の「方針転換」を示すものであった。
 つまり、
 中国にとって東シナ海の尖閣諸島も南シナ海の南沙諸島も、
 台湾やチベットのように譲歩の余地のない「核心的利益」だと明示した
のである。

■「集団学習会」で習近平が方針変

 もちろん、これまでも中国の当局者が尖閣諸島を「核心的利益」だと発言したケースはあった。
 だが、公式に記録に残すことは避けてきた経緯がある。

 例えば2013年4月26日、中国外交部の華春瑩副報道局長が定例の記者会見で、デンプシー統合参謀本部議長が訪中時に中国側から尖閣諸島(釣魚島)が中国の「核心的利益」だと主張されたと日本滞在中に語ったことをもとに、記者が中国の公式な立場を問いかけた。
 これに対し華春瑩は、
 「釣魚島問題は中国の領土主権の問題であり、当然中国の核心的利益に属する」
と答えた。
 しかし、このやりとりを掲載した中国外交部のウェブサイトでは回答が改竄され、
 「中国国務院新聞弁公室が2011年9月に発表した『中国の平和的発展白書』が明確に示しているとおり、中国は断固として国家主権、国家安全、領土の完全性などを含む国家の核心的利益を擁護します。
 釣魚島問題は中国の領土主権に関するものです」
と曖昧に書き換えられた。

 同様に、6月7日にカリフォルニアで開催された米中首脳会談の夕食会で、習近平主席が、尖閣諸島が歴史的にも中国の固有の領土であると主張し、これを中国の領土主権にかかわる「核心的利益」に位置づけていることを表明したとされるが、こうした情報は首脳会談後に米国側から漏れてきたものであり、中国の公式メディアに記録されることはなかった。

 中国が尖閣諸島問題を公式に「核心的利益」として位置づけることに慎重だったことは、こうした例を見れば理解できる。しかし、その方針は7月30日に開催された中国共産党中央政治局での集団学習会において習近平自身によって変更されることになる。

 学習会のテーマは「海洋強国の建設」であり、そこで
 「われわれは平和を愛し、平和的発展の道を堅持するが、正当な権益を放棄するわけには断じていかないし、国家の核心的利益を犠牲するわけにはなおさらにいかない」
としつつも、
 「『主権はわが国に属するが、係争は棚上げにし、共同開発する』方針を堅持し、互恵友好協力を推進し、共通利益の合流点を探し求め、拡大しなければならない」
と指摘したのである。

 もとより、こうした発言に際して習近平の脳裏に尖閣諸島や南沙諸島があったことは間違いない。
 そのうえで、これらを核心的利益に位置づけてみせたわけだ。
 しかも、中国の対応として
 「主権はわが国に属するが、係争は棚上げにし、共同開発する方針」
まで提示してみせた。
 一見、武力行使を排除した穏健路線に見えるが、これを南シナ海で中国と対立するベトナムやフィリピンが真に受けるとは思えない。
 中国が軍事的に圧倒的優位にある立場で、これらの国に譲歩する可能性は低いからである。

■中国に「武力行使」の選択肢はない

 しかし、尖閣諸島に当てはめてみると、この中国の方針は、中国が取り得るギリギリの選択肢のように思える。
 ギリギリというのは、
●.日本の対応、
●.米国の反応、
●.それに中国国内の反日愛国ナショナリズムの反発
を考えての話だ。

 中国が尖閣諸島を「核心的利益」と明示的に位置づけてしまった以上、安易に「主権問題を棚上げ」にすれば中国国内が収まらない可能性は否定できず、これは力で抑え込むしかない。
 しかし、「無条件での日中首脳会談開催」を呼びかける日本に対しては、
 開催の前提条件として「領土主権をめぐる問題が存在すること」を認めさせるために、中国側に妥協の余地がないことを知らしめる目的で、尖閣諸島を「核心的利益」と明示せざるを得なかったのかもしれない。
 いわば、「退路を断つ」背水の陣である。
 そして、日中がもし「主権棚上げ」「共同開発」で合意できれば、尖閣諸島の現状維持を望む米国を安堵させることができる。

 この中国の選択肢、すなわち「解決策」は、
 結局のところ尖閣諸島問題で武力行使することが事態を一層悪化させるだけだ
という判断があるからだろう。

 尖閣諸島をめぐる日中の確執が表面化して以来、
 米国は何度も尖閣諸島が日米安保条約の適用範囲に含まれることを確認してきた。
 オバマ政権も同様だ。
 しかも、オバマ大統領が2013年1月に署名し発効した「2013年国防授権法」は、そのことを明文化している。

 すなわち、尖閣諸島に関する上院修正条項がそれである。
 この修正条項の提案者の1人である上院外交委員会東アジア太平洋問題小委員会のジム・ウェッブ小委員長(民主党)は、2012年11月29日の声明で、
 「過去数年間、中国は東シナ海での尖閣諸島や南シナ海での領有権を主張するため、次第に攻撃的な行動を取っている。
 この修正案は、
 米国が尖閣諸島が日本の施政下にあることを認めていることと、
 この立場は脅迫、強制、軍事行動では変化しないことを議論の余地なく明言するものである」
と述べていた。

 尖閣修正条項の内容をかいつまんで紹介すると、次のようなものである。

●・尖閣諸島の最終的な領有権については、米国は、いかなる立場も取らないが、米国は、尖閣諸島が日本の施政下にあることを認める。

●・第三者による一方的な行為は、尖閣諸島に対する日本の施政権に関する米国の認識に影響を与えない。

●・米国は、当事国が領土紛争を強制によることなく協働作業による外交的手段によって解決することを支持し、
 東シナ海における主権及び領有権問題の解決を目指すいかなる当事国による強制、武力による威嚇又は武力の行使の企てにも反対する。

●・米国は、日本政府と、日米安全保障条約第5条
 「各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危険に対処するように行動することを宣言する」
に基づく約束を再確認する。

 この条項に従えば、
 たとえ中国が武力で尖閣諸島を占領したところで、
 米国は尖閣諸島における日本の施政権が維持されているものとし、日米が共同で中国に対処することになる。
 局地戦で日米を圧倒できる戦力を保有しているわけではない中国としては、とてもそんな勝算の立たないリスクは冒せないということになる。

■中国が直面する内憂外患

 では、それにもかかわらずなぜ「海警」など中国の公船が繰り返し尖閣海域の日本領海に侵入し、日本の巡視船に対して
 「ここは中国の領海である。速やかに退去せよ」
といった活動を続けているのか。
 それは、
 日本の施政権に対する圧力というよりも、中国国内向けのパフォーマンス
と見るべきであろう。

 しかし、こうした活動や2013年2月に露見した火器管制レーダー照射事件などをとらえ、米国議会上院が7月29日、対中非難決議案を全会一致で採択するなど、中国の行動は裏目に出ている。

 冒頭に紹介した常万全国防部長の強硬な発言は、当然ながら習近平主席の党中央集団学習会での発言を受けたものであるが、表向きの強硬さとは裏腹に、
 尖閣諸島問題で選択のオプションを持たない中国
の「強がり」に過ぎないのではないか。
 小泉政権時代、日中首脳の相互訪問は途絶えたが深刻な問題にはならなかった
 今後3年間は続くと見込まれる安倍政権にとっても、首脳の相互訪問途絶はすでに想定内なのかもしれない。

 中国は国内経済の成長率低下、シャドーバンキング等実態のつかめない負債、経済構造改革への既得権益層の抵抗などの内憂、強硬な外交への国際的な反発などの外患に直面しているが、
 日中経済関係を見れば
★.日本の製造業の中国脱出
★.日米貿易が日中貿易を上回る
等、デカップリング(非連動性)が表れ始めている。
 これまでのように中国経済への過度な期待は影を潜めるようになった。

 本格的に持久戦の様相を深めてきた尖閣問題で、
 時間は日中どちらに味方するのか。
 しずかに見守りたい。

阿部 純一 Junichi Abe
霞山会 理事、研究主幹。1952年埼玉県生まれ。上智大学外国語学部卒、同大学院国際関係論専攻博士前期課程修了。シカゴ大学、北京大学留学を経て、2012年4月から現職。専門は中国軍事・外交、東アジア安全保障。著書に『中国軍の本当の実力』(ビジネス社)『中国と東アジアの安全保障』(明徳出版)など。



【参考】

レコードチャイナ 配信日時:2013年8月2日 19時40分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=75001&type=0
日中関係は長期的な「疎遠」によって拓かれる―環球時報社説
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 日中関係が緊張し続ける中、外交的接触の継続は大変重要だが、
 日中首脳会談に関しては一定期間不必要だ。
 これは日本へのぶれないシグナルであるべきだ。
 首脳会談はすでに外交的意義を超えており、首脳会談の開催自体が日中関係全体に対する1つの姿勢であり、一定の成果があるべきである。
 だが安倍政権の対中思考に全く変化はない。
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 中国社会は現在の両国の「冷たい対立」を結構よしとしている。
 戦争さえ始めなければ、日中間の様々な交流はできるだけ自然な流れに従えばいい。
 双方に有利なことなら自ずと行なおうとする人がいるし、リスクの高いことなら自ずと萎縮する。
 中国の発展はゆっくりとこうした調整に適応していく。
 われわれは日本も徐々にこれに適応することを望む。

 安定的に冷え込んだ日中関係は何年か続いてもよい。
 両国はこの時間を利用して再考し、将来の両国関係を構築するための新たな出発点を見つけることができる。
(提供/人民網日本語版・翻訳/NA・編集/武藤)



レコードチャイナ 配信日時:2013年8月11日 13時7分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=75413&type=0
海上で“鬼ごっこ”を演じる日中―米紙

海上“鬼ごっこ”を演じる日本と中国:両国とも「頑張ってます」というパフォーマンス



サーチナニュース 2013/08/26(月) 10:22 
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2013&d=0826&f=national_0826_010.shtml

【中国BBS】日本から“釣魚島”を奪うためには…中国人が議論

  中国大手検索サイト百度の掲示板に
 「どうすれば日本はおとなしく釣魚島(尖閣諸島の中国側通称)をわが国に差し出すか?
というスレッドが立てられた。
 スレ主がいくつかの方法を提案したところ、中国人ネットユーザーからさまざまな意見が寄せられた。

  スレ主は

①.“釣魚島を返してくれなかったら海に身を投げる”と跪いて泣きながら言えば、安倍首相も折れて返してくれる、
②.会議に安倍首相を呼び、辛抱強く道理を説き、歴史上では中国のものだと証明していることを諭す、
③.断交をして死んでも会わないと言えば寂しくなって返す、
④.核や監視船を送って脅す、
⑤.手を差し伸べて“兄弟”と呼べば義理堅い安倍首相は返してくれる、
⑥.13億人が一緒に安倍首相を罵れば恐くなって返す

などの方法を挙げた。

  スレ主の幼稚な提案に対して、ほかのユーザーからは
●.「中国から日本製品をなくし、日本漁船をだ捕して上陸すればいい」、
●.台湾と共同戦線を張り、日本製品をボイコットして中国という巨大な市場から締め出し、頑丈な船を作って日本の船に体当たりしまくれば、日本は恐くなって島に近寄らなくなる」
などの強硬手段が提案された。

  また
●.「全国民が力をだし、経済を発展させ、科学技術を振興させ、国力が米国を超えれば、その時には釣魚島を取り戻すのはいともたやすい事」、
●.「やっぱり1つの方法しかないだろう。海軍と空軍を拡張することだ」
といった方法も示された。

  しかし、
●.「わが国の食品と城管を日本に送ればいいんじゃね」
と、食品の安全の問題や市民に嫌われる横暴な都市管理担当者を揶揄(やゆ)した意見や、
●.「抗議して抗議して厳重に抗議し、厳粛に言い渡して終り」
と政府の対応を非難するコメント、
●.「スレ主は夢を見ているな。愛国は良いが夢だけじゃなダメだ」
とたしなめるユーザーもいた。

  尖閣諸島は日本が実効支配しているが、中国は領海侵入など強硬な手段によって主権の主張を繰り返している。
 日本側は尖閣諸島を巡る領土係争は存在しないという立場を貫いているが、中国の戦略は世界に「尖閣諸島が領土係争地」であることを知らしめ、そのうえで日本の実効支配を崩そうとするものだ。




減速する成長、そして増強される軍備


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2013年8月26日月曜日

少ない武装人員、低い軍事費からみて、軍国日本の復活は困難

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●23日、ニュースサイト・網易新聞は「数読(DATA BLOG)-数字で語る」というコラムで、「少ない武装人員、低い軍事費、軍国日本の復活は困難」と題した記事を掲載した。資料写真。


レコードチャイナ 配信日時:2013年8月26日 16時0分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=75991&type=0

「日本軍国主義復活」論は牽強付会
=低水準の軍事費と兵員数から判断して―中国メディア

 2013年8月23日、ニュースサイト・網易新聞は「数読(DATA BLOG)-数字で語る」というコラムで、
 「少ない武装人員、低い軍事費、軍国日本の復活は困難
と題した記事を掲載した。
 以下はその内容。

 いずも型護衛艦の進水や、旭日旗事件、閣僚による終戦記念日の振る舞いによって、再び軍国主義の台頭が取り沙汰されている。
 だが、個別の出来事から軍国主義の台頭を判断するのは、牽強付会の感を免れない。

 近現代における軍国主義の重要な特徴は、国家が大量の資源を軍事に投入し、兵員数や軍事費の支出が増加することにある。
 とりわけ、戦争発動の準備期間中にこの数字は大きく上昇する。
 だが、日本のここ20数年来のデータを詳細に観察し、他国と比較してみると、そのような兆候を読み取るのはかなり困難であることがわかる。

 明治維新から太平洋戦争発動にいたるまで、日本軍の兵員数は増加を続け、戦時中でない1906年から1935年にも、兵員数は24万人から33万人にまで増加している。
 日露戦争(1904-1905)、太平洋戦争直前(1937-1939)には大量の国民を招集し、1945年には719万人にまで膨れ上がっていた。

 戦後の日本は『平和憲法』によって軍隊を保有せず、基本的な防衛力を備えるにとどまっている。
 自衛隊の隊員数は安定して25万人前後を保っており、これは日本軍の1906年時点での人数に等しい。
 これは同じ敗戦国であるドイツに近い水準で、中国や米国の軍人数には遠くおよばない。
 2011年、自衛隊の隊員数は26万人で世界第24位。
 中国と米国はそれぞれ世界1位、3位に位置している。

 1875年から1893年にかけて、日本のGDPに占める軍事費の割合は、年平均2%の割合で増加を続け、1894年から1936年までは年平均5%のペースで増加していた。
 中国への全面的侵略を開始した1937年から1939年には6%から27%という猛烈な伸びを見せている。
 当時、軍事費は政府の全支出の40%を占めていた。

 戦後日本の『平和憲法』は軍事費の支出はGDPの1%を超えてはならないと規定している(訳注:日本国憲法にそのような規定はなく、いわゆる「防衛費1%枠」は閣議決定)。
 戦後60年以上にわたり、日本政府はこの条項を厳格に守り続けてきた。
 世界銀行のデータによると、1992年から2011年の20年間で、日本の軍事費がGDPに占める割合は0.9%から1%の間を行き来しており、ドイツよりも低い水準となっている。
 最も多くなった2011年でも1.02%と、世界第100位に位置している。

 ここ数十年来の兵員数、あるいは軍事費からみても、日本が次の戦争を準備している兆候を見つけ出すことはきわめて困難だ。
 このことは、『平和憲法』が効力を発揮している限り、日本が新たな戦争を引き起こす可能性はきわめて小さいことを十分に物語っている。
 英紙『エコノミスト』が2012年に発表した「世界平和度指数」では、軍事費や兵員数を低く抑える平和的政策によって、日本は世界第5位と、世界で最も平和な国の一つに数えられている。



サーチナニュース  2013/08/31(土) 13:27
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2013&d=0831&f=national_0831_037.shtml

【中国BBS】
なぜ日本の憲法改正=戦争?…わが政府による洗脳

  中国大手検索サイト「百度」の掲示板に
 「なぜ“日本の憲法改正=わが国への宣戦布告”と決めつけるのか
というスレッドが立てられた。

  スレ主は日本の憲法改正を取り上げた国営テレビ番組を視聴したという。
 スレ主と一緒に視聴したお年寄りは「憲法改正=軍国主義=中国侵略」と受け取ったようだが、スレ主は
●.「中国は他国の政治を批判してばかり」
と、中国政府が自画自賛と他国批判に明け暮れていることに落胆したようだ。

  スレ主の主張に対して、ほとんどのユーザーが中国国営テレビによる洗脳を危惧(きぐ)する声をあげ、
●.「外国による中国批判は多いが、国内ではほとんど報道されていないだけ。
 肝心な言葉がカットされ、ドキュメンタリー番組がSFになる」
という批判があった。

  確かに中国でもNHKや英BBCをはじめとする大手放送局の番組を視聴することができるが、
 中国共産党にとって都合の悪い報道はすべてカットされる。

  2010年1月31日、NHKが日中歴史共同研究について報道したの海外向け放送では、数秒にわたって画面が真っ黒になったほか、BBCは中国でスクランブル電波による妨害を受けていると報じた。

  また、
●.「わが国営テレビでは、よく日本の教科書を取り上げて批判するが、実際には事実のねつ造や侵略の美化など、戦争を美化した教科書の使用率はわずか0.3%に過ぎない」
と指摘するユーザーもいた。
 中国でも共産党の極端な姿勢を理解している人も多いようだ。

  また、
●.「国営テレビにやられた子どもがまた1人…でまかせばかり報道しているからな。
 いかに日本を悪く言っているかがよく分かった」
というコメントもあり、やはり中国政府のプロパガンダを理解している人もいた。

  中国が情報統制を行っていることは広く知られており、ネット上の情報もすべて検閲の対象となる
 また、海外のインターネットサイトへの接続にも制限があり、TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアはアクセス不可能だ。
 だが、海外サイトへのアクセスにおいては抜け穴もあり、中国国内からFacebookにアクセスするユーザーも少なくない。



サーチナニュース  2013/10/09(水) 14:01
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2013&d=1009&f=national_1009_035.shtml

【中国BBS】日本脅威論に違和感、「わが国は日本より軍事費多い」

  中国の各メディアは護衛艦「いずも」の進水や旭日旗問題、終戦記念日における政治家の靖国神社参拝などを取り上げ、
 “日本は軍国主義を復活させる可能性が高い”
と主張している。

  しかし安倍首相が米ニューヨークで演説したとおり、中国は毎年10%以上も軍事費を増やしている。
 さらに中国の軍事費は政府が公表している金額を上回っている可能性も高く、透明性にも疑問が持たれている。

  中国にも軍事費をめぐって矛盾を感じている人がいるようで、大手検索サイト百度の掲示板にこのほど、「わが国の軍事費は日本の2倍以上なのに、なぜわが国は日本脅威論を唱えるのか?」というスレッドが立てられた。

  スレ主が引き合いに出したデータによれば、2013年度の軍事費は中国が1660億ドル(GDP比2%)で世界第2位だ。
 一方の日本は593億ドル(GDP比1%)で世界第5位にとどまっている。
 スレ主は「わが国内では日本脅威論が叫ばれているが、現実味のない話だ」と主張した。

  ほかのネットユーザーからは、
●.「中国の正規軍は200万人以上だが、日本は30万人にも届かない。
 だから兵士1人当たりの軍事費で言えば日本のほうがずっと上だ。
 敗戦国の軍事費が被害を受けたアジア各国より高いというのはおかしい」
という主張が寄せられ、やはり日本には警戒すべきという主張だ。

    また、
●.「日本と中国では国土の大きさが違いすぎる」
といった、軍備は国の広さに比例するものという見解もあった。
 四方を海に囲まれ、陸上に“国境線”が存在しない日本に比べ、中国は10カ国以上の国が隣接している。
 国境警備などに、日本よりも多額の予算が必要となることは間違いなさそうだ。
 それだけに、
●.「国土を守るために必要な日中の兵力を比べてみろよ」
といった“最低限度”の観点の意見は、中国が逸脱して軍備を強化している訳ではないという理屈として、それなりに説得力がある。

  ほかには
●.「日本の敵は少ないが、わが国には敵が何カ国あると思っているんだ」
と、敵対国が多いという中国の国際的な立場からすると、軍事費が多いことは当然との意見もあったが、周辺国との関係を悪化させているのは中国自身なのではないだろうか。

  また、
●.「わが国はGDPに占める軍事費の割合をもっと高くすべき」
との主張もあったが、国民の生活を向上させるためのインフラ整備などに使うべきとは考えないのだろうか。




減速する成長、そして増強される軍備


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